組織の力

2016.08.03

今を生き抜く"強い組織"を目指す〈中編〉

組織を高める三大要素は目的、貢献意識、コミュニケーション

ビジネスパーソンの多くは何らかの組織に属し、その組織の利益のために何らかの役割を果たしていることだろう。昨今は大企業の内部統制や不正隠蔽が問題になるなど、企業組織とはどうあるべきかについて再考を迫られるシーンも多い。高い組織力を構築・維持するために、いま組織に何が求められているのだろうか。経営組織論の専門家・首都大学東京大学院社会科学研究科の高尾義明教授に伺った。

「目的」・「貢献意欲」・「コミュニケーション」が
組織力を決める

高尾教授が専門とする経営組織論においては、「目的」「貢献意欲(モチベーション)」「コミュニケーション」の3つが、組織力の三大要素と位置づけられている。
 
「組織としての明確な目的・ビジョンがあり、組織に属する個人やチームがその目的の達成に貢献しようとモチベーションを高め、組織内のコミュニケーションや調整がスムーズにいくと、高い組織力を実現することができます。3つの要素はどれも不可欠ですが、その位置づけやそれぞれの高め方は、時代によって変わってきています」
 
 
 

高度経済成長期〜1970年代は
家元組織

高度経済成長期〜1970年代にかけては、典型的な日本型組織の時代だった。同質性が高く男性中心で、年功序列や終身雇用が基本とされた。日本の経済は右肩上がりで、国民全体が前を見て歩んでいた。
 
「当時の企業組織は、芸道のように流儀を世襲で受け継ぐという経営スタイルから“家元組織”とも称されます。1970年代頃までは、社会全体が成長志向で、企業には“より良いものをより安く、たくさん、つくる”という明確なビジョンがありました。そのため、リーダーはあえて『目的』を語る必要はなく、いわゆるカリスマ型の経営者ではなく調整型の経営者が中心でした。周囲の意見に乗っかる“お神輿経営”と称されることもありますが、リーダーの重要な役割は、社員一人ひとりの『貢献意識(モチベーション)』を高め、社員間を調整してまとめ上げることにあったのです」
 
調整型経営者の代表が、パナソニックの創業者・松下幸之助だ。社員を大切にした経営者としてはもちろん、常に相手の一歩先を予見した気配り名人としても知られている。
 
ちなみに、1970年代は、前編で紹介したスーパー戦隊シリーズ(東映)第1作目の『秘密戦隊ゴレンジャー』が放映された時期(1975年〜1977年にテレビ朝日系列で放映)でもある。リーダーであるアカレンジャーは、決断力や統率力に優れ、戦闘能力も高い“強いリーダー”として描かれていた。その背景には、現実には強いリーダーが少なかったからこその憧れがあったのかもしれないと、高尾教授は推測する。
 
 
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高尾 義明(Takao Yoshiaki)

首都大学東京大学院社会科学研究科経営学専攻教授。専門は経営組織論。京都大学教育学部を卒業後、神戸製鋼所に就職し、経営企画スタッフとして4年間勤務する。同社を休職して京都大学大学院経済学研究科修士課程に入学し、経営学を学び始める。博士課程への進学を機に同社を退職し、組織論研究者への道に専念。九州国際大学経済学部専任講師、流通科学大学情報学部専任講師・助教授を経て、2007年に首都大学東京大学院社会科学研究科経営学専攻准教授となり、2009年より現職。その他、京都大学経営管理大学院京セラ経営哲学寄附講座客員教授、University of California, BerkeleyにてVisiting Scholarも歴任している。

文/笹原風花 写真/石河正武
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