組織の力

2018.09.10

健康経営を支える「ワーク・フード・バランス」〈後編〉

1食に「3色・3タイプの栄養素」を揃える

全国の企業に向けて健康に配慮したお総菜の提供サービスを行う株式会社おかんでは、導入企業に向けて食生活に関する研修も行っている。今回は同社で管理栄養士の資格も持つ大浦梢さんに、「ビジネスパーソンが押さえておきたい食生活の知識」として研修で伝えている内容のエッセンスをお教えいただいた。仕事で最大限のパフォーマンスが発揮できるよう、適切な食事の内容やタイミングを押さえよう。

一食の内容にこだわり過ぎず
ロングスパンで必要な栄養をとる

栄養バランスを考えたり、三食決まった時間に食べたりすることが大切だとはわかっていても、仕事に追われて一食抜いたり、つい栄養素が偏ってしまったりすることはままあるだろう。そんなビジネスパーソンの実情を踏まえて、大浦さんは次のように語る。
 
「健康のために食生活を気にする方も多いと思いますが、忙しい毎日の中で規則正しくバランスの取れた食事をするのは大変です。そこで、1回の食事では栄養が偏ってしまっても、1日の中で栄養バランスを調整しよう、と考え方を変えれば、食べるのが楽しくなります、無理なく取り組めます。1日が難しければ、2~3日の中で必要な栄養素を摂取していく、という考え方でもよいのではないでしょうか」
 
毎食バランスをとろうと思うと負担を感じるが、ある程度のロングスパンで考えてよいならぐっとハードルは下がる。
 
 
 

1食につき3色以上の
食品をとる

しかし、「栄養バランス」や「必要な栄養素」とは具体的にどんな内容を指すのだろうか。 大浦さんによればポイントは二つ。まず大切なのが「1食に3色以上の食品を揃えること」だという。例えばハンバーグのランチセットなら、「ごはん(白)・みそ汁(茶色)・ハンバーグ(茶色)・付け合わせのニンジン(オレンジ)とブロッコリー(グリーン)、トマトサラダ(赤)」で5色だ。
「オレンジやグリーンは植物の色素である場合が多いので、3色以上が揃えば野菜を一定量とれている目安になります」
 
 
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3タイプの栄養素をとれば
最低限の栄養バランスは保てる

もう一つのポイントは、一食の中で次のような3タイプの栄養素をとることだ。
 
1.身体をつくる栄養素(肉や魚、大豆に含まれるたんぱく質、小魚や海草、乳製品などのカルシウム)
2.エネルギーのもとになる栄養素(ご飯・パン・麺類などの炭水化物、油脂)
 
3.身体の調子を整える栄養素(野菜に含まれるビタミンやミネラル)
 
この3タイプの栄養素をとっていれば、最低限の栄養バランスはクリアできたことになるという。しかし、大浦さんが研修などで接するビジネスパーソンに「今日のお昼は何を食べましたか?」と聞くと、3タイプを満たしていないケースも目立つそうだ。
 
「例えば、ランチはコンビニのおにぎりとサラダという女性が結構多いですが、このメニューだと『身体をつくる栄養素』が不足していることになるので、できれば肉や魚のお総菜を1品加えたいところです。昼食時が無理なら、仕事の合間に飲むコーヒーをカフェラテに替えて牛乳をとるなどして、足りない栄養素を補っていただきたいですね」
 
「3色・3タイプ」という緩い基準で、しかも後から足すのもOKなら、無理なく必要な栄養素をとることができそうだ。大浦さんも、「『3色・3タイプ』という考え方に慣れてくると、必要な栄養素を満たすメニューをサッと選べるようになります」と力強く話す。
 
なお分量のバランスは、「主食:肉や魚:野菜=1:1:2」がベストとのこと。和食なら白米をご飯茶碗に1杯に肉か魚のおかず、野菜を使ったおかずを2品というイメージだ。「もし野菜を十分にとれない日があったら、翌日多めにとって調整しましょう」と大浦さんはアドバイスする。
 
 
 

朝からのハイパフォーマンスを
意識して出勤前の朝食を

ここからは、1日の生活においてビジネスパーソンが抱えがちな食生活の悩みと解決策を紹介していこう。
 
まず朝。出勤前につい朝食を抜いてしまう人が少なくない。特に早朝出勤していればなおさら、「起きてすぐは食べられない」というケースが多いはずだ。また、前日の夕食が遅くてお腹が空かないこともあるだろう。
しかし大浦さんは、「前日にたくさん食べたとしても、睡眠中に多くのエネルギーは使われてしまいます。ですから、1日活動するためのエネルギーとして、何かお腹に入れてから外出しましょう」と強調する。
 
「食べたものは、およそ1時間半かけてエネルギーとして使われていきます。つまり朝食をとらないと、エネルギーが不足している状態で出勤して仕事を始めることになるので、生産性も上がりにくいと考えられるのです」
 
では、食欲がない朝にはどんなものをとったらよいのか。エネルギーのもとになる炭水化物が望ましいが、食欲がなければ具だくさんのスープなどもお勧めだという。
「温かいスープをとると血流量が上がり、身体のすみずみに栄養素が届きやすくなります。レトルトでもよいので、前日に用意しておくと安心です」
 
 
 

株式会社おかん

2012年に株式会社CHISANとして創業し、個人向け総菜定期仕送りサービス「おかん」 を開始する。2014年に株式会社おかんに社名変更し、法人向けぷち社食サービス「オフィスおかん」を開始する。2016年に一般社団法人ワーク・フード・バランス協会を設立し、ワークプレイスにおける食環境の向上に向けた活動も行っている。

文/横堀夏代 撮影/荒川潤
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