仕事のプロ

2020.10.05

オンラインコミュニケーションのお作法〈上司編〉

上司が知っておくべき、リモートワーク中の若手社員のリアルな悩みとは?

テレワークの導入により、企業では電話やメールに加え、多様なコミュニケーションツールを活用して遠隔コミュニケーションを行う機会が増えました。それに伴い、若手社員に新たな悩みが生じているようです。若手社員がどのような悩みを抱え、上司はそれにどう対応したらいいのでしょうか。

テレワークでのコミュニケーションは
オンラインツールが必須に

緊急事態宣言下の4月、コクヨでは在宅勤務となった入社2~3年目の若手社員80名に、テレワーク中のコミュニケーションツールの利用状況についてアンケートを行いました。
 
すると、テレワーク中は従来のメールのほか、Google ChatやHangout、Google Meetといったコミュニケーションツールの使用件数が大幅に増えたことがわかりました。ただ、「それらのツールを自分は使いこなせるほうだと思うか」という質問に対しては、「とてもそう思う」「そう思う」と答えた人は約半数という結果に。オンラインツールを使ってはみたものの、その使い方に課題があるようです。
 
 
 

若手社員はオンラインツールが苦手?!

若手社員は幼い頃からデジタルツールに慣れ親しむY世代・Z世代。プライベートではSNSなどを使いこなしているにもかかわらず、ビジネスシーンで「ツールを使いこなせている」と断言できる人は半数しかいなかったのです。
 
そこで、「ツールを使いこなせていない」と思っている若手社員にヒアリングをしたところ、SNSの使い方そのものではなく、数あるオンラインツールの使い分けや、人によって使用できるツールやネット環境に違いがある状況などに悩んでいることが見えてきました。
 
例えば、若手社員は自分なりに上司の状況を考慮し、「忙しい上司に電話をするのは失礼だから」とチャットで連絡をすると、「こういうときはチャットではなく電話をすべきだろう? 」と言われることも。
 
また、若手社員は基本的に、自分がメールで連絡をしたら、相手からもメールで返事があると安心感をおぼえ、コミュニケーションが円滑に行われていると思えるようです。しかし、自分が送ったメール対して、上司から電話で返事があると、「選択ツールを間違えた」、「ツールを使ったコミュニケーションがうまくできなかった」と感じるという声も聞かれました。
 
本題以前に連絡ツールの選び方を指摘されたり、自分と上司の選んだツールが違ったりすることで、「自分はツールを使いこなせていない」と感じるようです。
 
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若手社員の悩みは
ツールに対する世代間ギャップ

この問題の根底にあるのは、ツールに対する認識の世代間ギャップです。電話は相手の時間を一方的に奪うものであり、コミュニケーションの最終手段と考える人は多いと思いますが、若手社員から上司への電話は、上司が思う以上にハードルが高く、電話をする前にメールやチャットで連絡を取ろうとします。
 
反対に、これまで電話とメールでコミュニケーションをとってきた50代以上の上司にとって、チャットはあまり馴染みがないもの。そのため「上司への連絡は、まず電話だろう」といった固定観念をもつ人や、チャットに嫌悪感があり、若手社員に「なるべくチャットは使わないで」という人さえいます。
 
上司がこうしたタイプの場合、若手社員は上司に合わせるしかありません。そもそも上司と部下のコミュニケーションは情報を伝えたり、共有したりすることが目的。オンラインツールの使い分けでつまずいてしまうのは時間がもったいないですし、テレワークが増えた今、効率的なツールはどんどん取り入れたいもの。
 
上司もツールに対する情報や認識をアップデートし、新たなツールを積極的に使う姿勢が求められます。
 
 
 

オンラインコミュニケーションのお作法〈上司編〉

■グループ内で運用しやすいルールを決める

こうした世代間ギャップを踏まえ、テレワーク中に円滑なコミュニケーションを図るには、まず部署やグループ内で、目的に応じツールを使い分ける運用ルールを決めることが重要です。
 
「添付ファイルが多い場合はメールで連絡をする」「急ぎの用件はチャットで伝える」など、大まかなルールを設定しましょう。以下の表を参考に、目的に応じツールを使い分けるルールを決めるといいでしょう。
 
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■部下が安心して発信できる環境をつくる
上司から若手社員に指示・依頼メールを送るときは、最後に「わからないことがあれば、いつでも電話をください」といった一言を添え、電話をしやすい状況をつくることがポイント。
 
若手社員にとって、この一言があるかないかで、電話のしやすさが大きく変わってきます。在宅勤務が多くなると、上司の家庭の状況などを考慮して簡単に電話を入れると迷惑なのではないか……、と感じることも多くなったという声もありました。
 
 
■上司からも情報を取りにいく
「連絡は部下からするもの」という考えを捨て、上司から積極的に若手社員に連絡することも大切です。若手社員も上司への「報告・連絡・相談」が大切だとわかっているものの、上司の状況が見えないぶんタイミングを計れず、連絡ができないことも。
 
コミュニケーションツールは一方通行ではなく、上司と部下の双方向で活用するもの。特にテレワーク中は、テキストベースのやりとりが増えるため、お互いの状況や心情をつかみにくくなります。
 
そのため、チャットなどを使って「作業の進捗はどうですか? 」「困っていることはありませんか? 」など、オフィスで会話をするような少し軽めのトーンで、上司から若手社員に向けて状況を確認しましょう。
 
上司は部下からの情報を待つだけでなく、自分から情報をキャッチしていく、双方向のコミュニケーションを心がけましょう。
 
 
■「見ているよ」のサインをタイムリーに送り心理的安全性を高める
部下からの連絡には、短くてもいいのでタイムリーに返信しましょう。上司から返信がないと、部下はきちんと見てもらえているか不安になります。さらに、返事がないと次の作業の予定を立てにくいもの。
 
「データを受け取りました。のちほど確認します」「午後に確認するので、ほかの作業を進めてください」などメールで返信をするほか、時間がないときはチャットで「了解」と送ったり、絵文字やスタンプで返信したりしてもいいでしょう。
 
遠隔でのコミュニケーションが増えた今だからこそ、上司が「見ているよ」「確認しているよ」と合図を送ることで、若手社員の心理的安全性が高まります。
 
 
 

オンラインコミュニケーションで上司が実践すべきこと

■グループ内で運用しやすいルールを決める
■部下が安心して発信できる環境をつくる
■上司からも情報を取りにいく
■「見ているよ」のサインをタイムリーに送り心理的安全性を高める
 
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オフィスで共に仕事をする場合、若手社員は無意識のうちに目に入ってくる情報や、上司とのちょっとした会話で知見が広がり、学びの機会を得られます。
 
しかし、テレワーク中はそうした機会がなく、上司の状況や心情も見えにくいため不安が募ります。そのうえ、オンラインツールを使った遠隔コミュニケーションは、若手社員にとって対面以上に難しく、気を遣うもの。
 
積極的に上司から情報を発信し、若手社員が安心できる環境や雰囲気をつくることも、上司の大切な役割の一つといえます。
 
 
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中村 彩(Nakamura Aya)

コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルリサーチャー
2018年コクヨ入社。働き方のコンサルティング業務のほか、社内社外セミナー、新人研修企画などの活動にも着手。

文/籔智子
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