リサーチ

2020.08.26

スタートアップは新型コロナの影響を成長のチャンスと認識

柔軟な体制と新規事業への意欲がポジティブに作用

新型コロナウイルスが経済に及ぼした影響は甚大であるが、この機をポジティブに捉えるスタートアップは少なくないようだ。2020年5月、一般社団法人日本スタートアップ支援協会が、NPO法人生態会と共同で実施した『スタートアップにおける影響調査』の内容を紹介し、危機をチャンスに転じるためのポイントを考察する。

新型コロナウイルスは世界経済に大打撃を与え、規模によらず多くの企業を容赦なく窮地に陥れた。なかでも、小さな企業や歴史の浅い企業は、より苦境に立たされているようなイメージがあるかもしれない。しかし、日本に本社を置く全国のスタートアップ(非上場)147社を対象に行われた『スタートアップにおける新型コロナウイルスの影響調査』では、必ずしも前述のようには言い切れない意外な結果が出ていた。
 
「新型コロナウイルスにより、御社のビジネスはどのように変化すると思いますか?」という質問、「非常に良くなる」「良くなる」と回答したスタートアップは35%にのぼり、「非常に悪くなる」「悪くなる」と答えた27%を上回った。特に関西では、ポジティブに捉える傾向が強いようだ。
 
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業種別に見ると、ITサービスやアプリの提供、Eコマース、Eラーニング、新型コロナウイルスの影響でニーズが拡大した業種(医療者と企業のマッチング、配達業など)が、「非常に良くなる」・「良くなる」と回答。一方で、「非常に悪くなる」・「悪くなる」という回答が多かったのは、やはり飲食や観光、対面サービス、顧客の活動停止の影響を受ける業種(オフィス機器の製造販売など)だった。
 
業種によって明暗が分かれるものの、「良くなる」の理由として挙げられている「新規の取引実現・交渉の促進」や「オンラインイベントで営業機会の増加」、「新規採用がしやすくなる」などは、さまざまな業種のスタートアップで実践可能だ。
 
大企業のように資金が潤沢でないスタートアップにとっては、イベント開催や採用活動に使える予算に限りがあり不利だったが、オンラインが常態化することによって大企業と同じ土俵に立つことができ、オンライン化はスタートアップにとって大きな追い風となる。
 
また、日本の対面文化に馴染みにくかったWeb会議やWeb商談のニーズが一気に高まっているので、これまで難色を示していたクライアントに提案する絶好のチャンスだ。苦肉の策として催したオンラインイベントが意外にも顧客に好評だったケースや、これまでは接触できていなかった顧客を開拓したケースもあるようで、大小さまざまな企業が今後も継続する意向を示している。
 
採用活動のオンライン化が進むと雇用のチャンスが増え、うまく駆使すれば優秀な人材の獲得につながるだろう。これらはスタートアップに限らず、すべての企業に当てはまることだ。
 
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新型コロナウイルス収束までの道程は遠く、ウイルスと共存する社会が続くといわれている。経済についても明るい見通しはなかなか立たないが、35%のスタートアップのように、この機をチャンスととらえるポジティブな見方を大事にしたいものだ。
 
新型コロナウイルスの影響による本業の不振は、新たな事業や取り組みに着手するきっかけにもなり、多くの飲食店がテイクアウトや移動スーパー、ドライブスルー販売などを始めている。また、タクシー会社がデリバリーサービスを請け負うなどの新しい事業形態も登場した。
 
一部の習い事では、講師の目が行き届くオンライン講義のほうが、対面より好評だというケースもあったと聞く。これらは全て、新型コロナウイルスを機に新たに見出された可能性といえる。
 
新型コロナウイルス感染拡大という未曾有の事態は、テレワークへの移行など大きな変化のきっかけをつくり、新しい事業の発見というチャンスももたらしたのではないだろうか。そのなかで、クイックに事業展開できるスタートアップは、敏感にその機をとらえプラスに転じようとしている。
 
スタートアップのようにスピーディーに事業展開できる体制があると、社会の様相が一変したときに、それを強みとして発揮できるのではないだろうか。企業規模にかかわらず、これからの社会では「事業展開のスピードアップ」が必須になりそうだ。
 
 
【出典】一般社団法人日本スタートアップ支援協会 『スタートアップにおける新型コロナウイルスの影響調査
 
作成/MANA-Biz編集部
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