リサーチ

2020.05.18

企業におけるフリーランス活用の意義と留意点

非常事態での対応力がキー

エン・ジャパン株式会社は2019年10月、フリーランスマネジメントシステム「pasture(パスチャー)」において、『フリーランスに対する意識調査』を実施し、全国のビジネスパーソン1,000名から回答を得た。その結果からは、フリーランスへの需要の高まりが確かに読み取れたものの、取引開始へのハードルも垣間見えた。また、新型コロナウイルス流行拡大で浮き彫りになったフリーランスの弱点についても考察する。

企業に所属して働くことへの絶対的な安心感が薄れ、働き方も多様化するなか、「フリーランス」というスタイルに興味を持つ人が増えた。そして近年、フリーランスを積極的に活用しようとする企業も増えている。働き方やキャリアに対する個人の意識が変化してきたとともに、慢性的な人材不足に悩む企業もまた、十分に浸透しているとはいえないものの、フリーランスを貴重な人材として認識しつつあるようだ。(参考:『フリーランス活用で企業が進化する時代へ』前編後編
 
エン・ジャパン株式会社が実施した『フリーランスに対する意識調査』では、約6割がこれからの時代フリーランスへの需要が「増える」と回答していた。
 
 
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しかし、勤務する会社でフリーランスとの取引経験が「ある」と答えたのは33.3%にとどまり、需要の高まりと実際の取引件数との間には、現段階では大きな乖離があることが読み取れる。
一方、取引経験がある人の70%以上がフリーランスへの取引に「満足している」と回答しており、フリーランスへの評価は高い。ただ、期待感や満足度が高いだけに、実際にフリーランスとの取引を行っている企業が未だ少ないことに対しては物足りなさが残る。
 
 
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「フリーランスとの取引を増やすべきだと思いますか?」という質問において、フリーランスとの取引経験がない層では「変えなくていい」が36.8%で最多。
取引経験がある層でも28.5%が「変えなくていい」と回答したが、約6割がフリーランスとの取引を「増やすべき」と考えている。また、取引経験がない層でも、合計26.7%がフリーランスとの取引を「増やすべき」という意識を持っていることがわかった。「減らすべき」という意見は両方の層で1~4%台に留まっており、取引経験の有無にかかわらず、フリーランスとの取引を増やしたいと考える人が多いことが読み取れる。
取引経験がない層で「わからない」と答えた人が3割近くにのぼっていることも鑑みると、フリーランスとの取引のメリットを体感していないために、「変えなくていい」と考えている人も一定数存在するのではないかと推察される。
 
 
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フリーランスという働き方は、昨今の社会の変化に沿った一つの選択肢となっている。また、フリーランスのなかには、高度な専門知識やスキル、幅広いネットワークなど、社内にはないリソースを持つ人も多く、企業にとってもフリーランス活用のメリットは大きい。調査では、フリーランスとの取引が「成長につながる」という評価も高かった。
現代の世の中ではワークシェアという考え方が浸透し、「個人が持つ得意なスキルを活用する」ことへの意識が高まっている。政府による副業解禁、大手企業の副業推進なども、ビジネスパーソンがフリーランスとして活躍する機会が増える後押しになるだろう。人材不足が深刻化するなか、人材不足が進むにつれて外注化が増えることも予測されるうえ、その道のプロフェッショナルとして活躍するフリーランスを、社内では育ちにくい貴重な戦力とみなす企業も多いと聞く。
 
しかし、企業側の期待感の高まりが実際の需要向上に直結するには、まだ時間がかかりそうだ。社内規約でフリーランスとの取引が制限されていたり、社員や派遣社員とフリーランスの違いに対する理解が不十分であったりすると、浸透は遅れてしまう。
企業とフリーランスがビジネスパートナーとして対等な連携体制を築くことができずトラブルに発展するケースもある。いつも同じ空間で仕事をしている社員同士とは異なるため、同じ課題感を共有しながら、お互いの方向性を擦り合わせていくためには、より密なコミュニケーションが求められるだろう。
 
また、フリーランスとして働きたいと思っていた個人にとって、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)がフリーランスに及ぼした多大な影響はショッキングだったのではないだろうか。フリーランスは企業に所属するビジネスパーソンよりも危機的状況に脆弱な側面があることは否めない。しかし、もともとオフィスではなく自宅などでソロワークをすることの多いフリーランスにとって、企業に勤めるワーカーほど仕事環境の変化はなく、遠隔での作業が可能な一部の業界では、このような状況のなかでもフリーランスへのニーズが高い場合もあるようだ。
また、フリーランスだからこそ、日頃から自身のスキルの幅を広げる努力をし、この有事にうまく対応している人もいる。
 
近年の政府による副業解禁を受け、副業を推進する企業も増えており、まず副業という位置づけでフリーランスとして活動してみることもリスクヘッジの一つになるかもしれない。企業人として&フリーランスとして、2つの顔を持つビジネスパーソンも、今後増えてくるだろう。
 
 
 
【出典】エン・ジャパン株式会社 フリーランスマネジメントシステム「pasture(パスチャー)」『フリーランスに対する意識調査
 
 
 
作成/MANA-Biz編集部
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