リサーチ

2020.04.10

20代~40代が抱く「働くシニア世代」の印象は?

70%がシニア世代を「尊敬できる」と回答。シニア世代の積極採用にも好意的

定年退職後も働きたいと希望するシニア世代と、人材確保に苦戦する企業。双方のニーズが合致して、近年盛んになっているのが「シニア採用」だ。株式会社ワークポートが2019年11月に行った『働くシニア世代(※)のイメージについてのアンケート調査』からは、20代~40代のビジネスパーソンが、シニア世代の就労に対して好印象を抱いていることがわかった。
※本調査では50歳以上を「シニア世代」とする。

人生100年時代といわれる近年では、「定年退職後も仕事を続けたい・続けなければならない」と考えるシニア世代が少なくない。年金受給年齢が上がり、定年後~受給までの生活資金をどう賄っていくのか、年金はどの程度受給できるのかなど、多くの人が老後に不安を抱えている。
一方で、企業は慢性的な人材不足に悩まされており、ノウハウを蓄積したシニア世代の採用に積極的になりつつあるようだ。人口減少・高齢化が進むなか、労働力不足は今後ますます深刻化していく大きな社会問題であるため、個人と企業、そして社会にとっても、シニア採用は積極的に取り組むべき方策の一つであると考えられる。
 
株式会社ワークポートが実施した『働くシニア世代のイメージについてのアンケート調査』では、50歳以上のシニア世代に対しての印象について、全国の20代~40代の転職希望者273人から有効回答を得ている。『あなたにとってシニア世代はどんな存在か』という質問に対する回答では、「とても尊敬できる」、「やや尊敬できる」の合計が70%以上となり、大多数が尊敬の念をもってシニア世代を見ていることがわかった。
 
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シニア世代と一緒に働くメリット・デメリットについて、具体的な意見は以下の通りである。
<メリット>
・知識や経験が豊富なので、マニュアルではなく経験則から答えを聞ける。(20代・男性・建築土木)
・落ち着きや貫禄、余裕がありとても仕事をしやすい。(40代・女性・コールセンター)
・経験を聞くことで今後に活かせるし、多角的な視点が身につく。(20代・女性・医療福祉)
・対人スキルに長けていて、社内外にネットワークがある。(40代・男性・企画マーケティング)
<デメリット>
・昔の常識を若い世代に押しつけることがあるので、業務の効率化を図りにくいことがある。(30代・女性・事務)
・世代間の常識や考え方の違いで、互いに悪気はなくてもうまくいかない時がある。(20代・女性・医療福祉)
・やや柔軟性に乏しい時がある。自分のわからない分野や技術は受け入れないことが多い。(40代・女性・クリエイター)
・パソコンなどの機器やソフトウェアに疎い人が多い。(30代・女性・管理)
 
シニア世代への見方は様々であるが、尊敬の念を持つ割合が70%以上であることを考えれば、メリットを重視して好意的に捉えている人が多いと言えるだろう。また、多少デメリットがあってもそれを超えるだけのメリットがあると考える人が多いということではないだろうか。
 
回答者が勤める企業(または直近で勤めていた企業)において、現段階でシニア世代を積極採用している企業は1割を超える程度にとどまっているが、今後の見通しを聞くと、7割近くが「今後シニア世代を積極採用する企業は増える」と予測している。
4_res_124_02.pngシニア世代を積極採用する企業に対するイメージをきくと、「とても良いイメージ」と「やや良いイメージ」が合計で8割近くにのぼった。その理由としては、以下のような意見が挙がっている。
 
・世代に関係なく働きたい人に働く場を提供しているのは良いことだと思う。(40代・男性・管理)
・年齢という枠組みにとらわれない柔軟な考えができる企業だと感じる。(30代・男性・営業)
・シニア世代を重視できる会社は、人材育成や職務経験を大切にしていると思われる。(40代・女性・コールセンター)
 
シニア世代を積極採用する企業は、さまざまな世代に採用の門戸を開いているとして、多くの人に好印象を抱かれているようだ。また「高齢化が進んでいるなかで長期的な経営展望を描いていると感じる(40代・男性・管理)」、「「社会問題に沿って柔軟に対応していると感じるから(20代・女性・運輸交通)」のように、社会の流れに応じた柔軟な対応ができる企業の体制を評価する声もあった。
 
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多くの20代~40代の若手世代は、シニア世代に対して良い印象を持ち、シニア世代とともに働くことをポジティブに捉えている。しかし、シニア世代の積極的な活用が進めば、「同僚が60代」や「年下上司と年上部下」のような構図も増え、コミュニケーションや環境にも配慮が必要になってくることが予想される。
しかし、シニア世代と一緒に働くメリットとして、「仕事以外のことを教えてもらうことも多く、たとえ部下であっても精神的に頼れる場面が多い(40代・女性・接客販売)」という意見があった。上司・部下という関係性にとらわれず、人として尊敬し合うことで、歩み寄りや相乗効果が期待できるのではないだろうか。
 
シニア世代は価値観が古そう、ITに弱そうといったネガティブな意見も見られたが、それでもシニア世代と一緒に働くメリットは多い。それぞれの得意不得意を認め合って、お互いの良さを活かし、弱点を補完しあいながら、シニア世代と若手世代が共に働くスタイルを構築していくことが、今後の課題となるであろう。
 
 
【出展】株式会社ワークポート『働くシニア世代のイメージについてのアンケート調査
 
作成/MANA-Biz編集部