リサーチ

2020.03.09

2拠点以上で働き暮らす。新しい働き方のカタチ

「多拠点に住みたい」×「多拠点で勤務してほしい」 個人と企業のニーズがマッチ

働き方や暮らし方が多様化する中、仕事をしながら複数拠点に住むスタイルが注目を集めている。株式会社フージャーズホールディングスが運営する『欲しかった暮らしラボ』において、2019年2~3月に『複数拠点に住むことについてのアンケート調査』が実施された。その結果をもとに、暮らしの拠点を複数に置くことや、どのように仕事とのバランスを取っていくかについても考察する。

今の住まいのほかにも居住地を持ち、行き来しながら生活する“多拠点での暮らし”に憧れる人々が増えている。しかし現実には、仕事や家庭、経済的な事情が障壁となり、実行に移すことはなかなか難しい。
一方、このニーズを活かして新たなワーキングスタイルを提案する企業がある。株式会社テクロス(https://dualwork.jp/)では、2019年11月から都内と京都の2拠点で勤務する従業員の募集を開始した。双方に社宅が用意され、交通費も会社が負担する。2拠点を柔軟に行き来し、一時的な出張ではなく双方の職務と深く関わる社員を置くことは、社内コミュニケーションの円滑化や事業活性化といったメリットがあるという。
 
『欲しかった暮らしラボ』で実施された調査では、58.1%の人が「複数拠点で暮らすことに興味がある」と回答していた。多拠点の暮らしに憧れながらも、「仕事と両立できない」、「経済的に難しい」といった事情で諦めていた人にとって、株式会社テクロスの取り組みは耳寄りな情報だ。
 
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上記Q1の回答を選んだ理由として最も多かったのは、「好きな街で暮らしてみたいから」というものだった。“好きな街”は、旅行をして憧れた街であったり、地元であったりする。「趣味に没頭したいから」も同様であるが、自己実現のために多拠点の暮らしを望む人が多いようだ。
また、故郷を離れている人は、老齢の親が心配であるという理由から、地元と現在の住まいの両方を拠点にしたいと考えることもあるだろう。現代では少子化・核家族化が進み、離れた場所に住む親の介護に悩むビジネスパーソンも増えており、これは切実な問題だ。
 
「今の暮らしから自由になりたいから」という回答からは、現代のビジネスパーソンが日々感じている“息苦しさ”が想像され、共感する人も少なくないのではないだろうか。「いざという時に賃貸として貸し出して稼ぐことができるから」のように、経済的合理性を理由にしている人もいる。選択肢には設定されていないが、近年は災害が増えているために、有事に困らないように複数拠点を持っておきたいという声もよく聞かれる。
 
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多拠点での暮らしを実践しようとしたとき、最も大きな障壁の一つが“仕事”である。リタイアしていれば問題はないが、仕事がある以上は現在の拠点から離れられないというケースもあるだろう。実現するためには、転職するしかない…という人も多いのではないだろうか。
ところが、「複数拠点生活をした際、仕事はどうするか」という質問では、半数近い人が「今の仕事を続ける」と答え、「転職する」と「起業する」は合計で10.5%だった。この数値差からは「多拠点生活をしてみたいが、仕事は替えたくない」というニーズの高さが読み取れる。
 
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日本のビジネスパーソンは、世界的に見ても、仕事を最優先にした暮らしをしているという。近年はそこに疑問を感じる人が増え、働き方改革も施行され、個人も企業もワークライフバランスを見直す機会を得ている。しかし、調査では今なお「仕事優先の今の暮らし方から脱却はむずかしい」と答えた人が、「とてもそう思う(12.2%)」と「思う(39.1%)」の合計で過半数にのぼった。
 
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現実逃避的な憧れだけではなく、理想的なワークライフバランス実現の一環として、親の介護など切実な問題を解消する方法として、災害時のために等、さまざまな理由から多拠点の暮らしに対するニーズが高まっている。言い換えると、多拠点での暮らしを実現できる体制を社会ぐるみで構築していくことが、現代のビジネスパーソンが抱える問題を解決する糸口となるかもしれない。
 
 
東京と京都、2拠点での働き方を組織として提案する株式会社テクロスのような企業は、ビジネスパーソンの新しい生き方の可能性を広げている。働き方改革で推進されている「柔軟な働き方」の一つとしても、斬新で理想的なのではないだろうか。企業側にもメリットがあるため、複数の事業所を持つ企業にとっては、検討する価値が十分にあるだろう。この働き方によって救われる人や、人生の充足感を得られるビジネスパーソンが増えることにも期待したい。
 
 
【出典】株式会社フージャーズホールディングス 欲しかった暮らしラボ複数拠点に住むことについてのアンケート調査
 
 
作成/MANA-Biz編集部
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