リサーチ

2020.02.12

通勤ストレスがビジネスパーソンに及ぼす影響

通勤ストレスの軽減が、生産性やエンゲージメントのアップにもつながる可能性

通勤にかかる時間は、就業時間以外でビジネスパーソンに多大なストレスを与える場合がある。ザイマックス不動産総合研究所が行った『首都圏オフィスワーカー調査2019(2019年6月4日公表)』では、通勤時間とストレスに関する質問を設け、オフィスや仕事場が首都圏(1都3県)にある20~69歳の男女2,009人(※)から有効回答を得ている。

※対象:職業が会社・団体の役員、会社員、団体職員、自営業主(飲食店・小売店・対人サービス業以外)

ザイマックス不動産総合研究所の『首都圏オフィスワーカー調査2019』では、在籍するオフィスへの平均的な通勤時間を聞いたところ、ドア・ツー・ドアで片道「40分以上60分未満」という回答が最も多く(27.4%)、全体の平均値は49分であった。「60分以上90分未満」が27.2%、「90分以上」も10.2%となっており、片道1時間以上かけて通勤している人は40%近くにのぼる。
 

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通勤時間を男女で比べると、全体的に男性のほうが長時間通勤をしている人が多かった。また、男性は年代が上がるにつれて通勤時間が長くなり、女性は30代以降、年代が上がるにつれて通勤時間が短くなる真逆の傾向が見られた。たとえば家庭を持ち郊外に住宅を購入した後も、男性は元の職場に勤め続けることが多いが、女性はライフスタイルの変化に合わせて自宅近くの企業に転職したり、パートに切り替えたりする人が多いのではないかと推測される。

 

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通勤ストレスを0(最低)~10(最高)の11段階で聞くと、通勤時間が長くなればなるほど、通勤ストレス値が高くなるという調査結果が出ている。長時間かけて移動するストレスに加え、首都圏では満員電車に乗って過酷な通勤に耐えなければならない人も多いため、通勤するだけで疲れてしまうという人も少なくない。
 
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通勤ストレスと、仕事満足度・プライベート満足度の関係性を分析したグラフを見ると、通勤ストレスが低いほど満足度が上がっている。勤務時間が同じでも通勤時間が短いほどプライベートに割ける時間が増えるので、プライベート満足度が上がるのは必然ともいえるが、プライベート満足度よりも仕事満足度のほうが、若干とはいえ数値差が大きいことは興味深い。
 
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調査では、通勤ストレスが生産性やエンゲージメントに与える影響についても分析されている。ワーカーの生産性や勤務先に対するエンゲージメントに関する9つの項目について、通勤ストレスのスコアが高いグループ(8-10)と低いグループ(0-3)で比較したところ、すべての項目において、通勤ストレスが低いグループが高いグループを上回る結果となり、ストレスが低いグループほど会社へのエンゲージメントが高いことがわかった。最も差が大きかった項目は「毎日楽しく働けている」で、ポイント差は32.8ポイントだった。通勤時間と最も関連が深そうな「時間効率よく働けている」のポイント差は28.8ポイントだった。
 
興味深いのは、「職場で上司・同僚とよい人間関係を築けている」、「勤務先の利益に貢献していると感じる」、「仕事上の目標を持ち、その達成のために努力している」、「仕事において自分の意見やアイデアをよく発言する方だと思う」など、通勤ストレスとはあまり関係がなさそうな項目でも、通勤時間が高いグループより低いグループのほうが上回っているという点である。通勤ストレスを強く感じている人ほど、自己肯定感や自己効力感が低い傾向があるようだ。
 
4_res_114_06.jpg通勤ストレスは、ビジネスパーソンの仕事やプライベートに対する満足度に少なからず影響を及ぼしている。通勤ストレスと生産性やエンゲージメントの関係を分析したグラフによると、時間的余裕の有無が直接関係しそうな項目以外にも影響があったことから、通勤による疲れやストレスを減らすことによって、仕事に注げるエネルギーや、仕事に対するモチベーションがアップする可能性も見て取れた。
 
働き方の多様化が進む現代では、フレックスタイム制やテレワークを取り入れる企業が増えている。それらを実践している人々からは、「通勤ストレスが減った」という意見が必ずといっていいほど聞かれる。通勤時間をなくす・減らすことは、時間的な余裕を作るだけではなく、パフォーマンスを妨げるストレスを解消し、生産性やエンゲージメントをアップする手立てにもなるかもしれない。
 
 
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