組織の力

2020.02.21

地震対策・BCPはじめの一歩

未曾有の被害をもたらした東日本大震災から5年が経過して災害への心構えが若干薄れつつあるころに、熊本でまた大きな震災が発生しました。日ごろ「防災が大切なのはわかっているけれど、自分たちは大丈夫」という根拠のない自信を持ちがちです。しかし、どんなことでも「初めて」のことには冷静に対応しにくいものです。オフィスで実際に地震が発生したつもりでシミュレーションしてみましよう。

STEP-1
まずは身の安全を守る

当たり前ですが、地震対策のもっとも大切なことは社員の安全を守ること。東日本大震災の際には免震構造の建物の安全性が注目されましたが、オフィスの中ではどんなことができるでしょうか。通路幅を確保したレイアウトにする、背の高い収納庫は壁面に固定する、ラッチ付扉などで収納庫から物が飛び出さないようにするなどの様々な対策があり、コクヨ発行の「地震対策オフィスの創り方」という冊子で詳しくご説明していますのでぜひご読ください。しかし、それらを実行したうえでも、収納庫の上や通路部分に物を置かない、机の下にスペースを確保する、キャスター付の机やキャビネットはキャスターをロックしておくなどの運用面はなかなか守られないのが実情です。美観の問題だけではなく整理整頓の安全面での重要性を社員に説明し、定期的に点検を実施するなどして平時から安全への意識を高めていきましよう。
 
 
 

STEP-2
地震発生直後の対応

東日本大震災の際は津波による被害が大きかったため、コクヨ東北販売株式会社では外出中の社員の安全確認を地震直後だけでなく複数回実施しました。電話は通じないがSNSなら通じた例もあり、安全確認の手段も複数検討しておく必要があります。日常的にも社用車のガソリン補充や携帯電話の充電などを気に掛けておきましょう。
 
初期救護品や防災備蓄は場所をとり日常使用しないため、地下倉庫などに配置しがちです。緊急時に業務が多く発生する総務担当者が備蓄の運搬・配布に忙殺されることのないよう、すぐに必要なものは事前に社員へ配布するか、オフィスフロアのわかりやすい場所に配備し、使い方がわかるようにしておくとよいでしょう。
 
災害対策本部の設置場所はあらかじめ検討されていることも多いですが、非常時要員の長時間の対応を想定し、オフィス内に仮眠が取れるソファなどを導入している企業もあります。
 
1_org_103_01.png
 
 

STEP-3
事業継続のために

オフィスがBCP対策できていたとしても、自宅が被災した、交通インフラが機能しない、学校や保育園が閉鎖しているなど社員が出社できないおそれは十分に考えられます。代価手段として挙げられるテレワークが有効に機能するためには日常での取り組みが欠かせません。
政府ではBCPの考え方として
 
❶優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
❷緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく
❸緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客と予め協議しておく
❹事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく
❺全ての従業員と事業継続についてコミュニケーションを図っておく
(出典:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」)
 
ことを挙げていますが、コミュニケーションの部分は実施できているでしょうか。同じ災害でも人によって受ける影響や自宅の被害の大きさは全く異なります。そして社員はあなたの会社の一員であると同時に誰かの大切な家族です。事業の再開には社員だけでなく家族の納得感と協力が必要な状況も考えられます。日ごろからの事業継続に関する意識あわせと、非常時には社員のケアが物心共に必要であることを忘れないでください。
 
「保管している非常食だけで1日過ごしてみる(疲れると甘いものも食べたくなるなあ)」「総務担当者が不在でも必要なものにたどりつけるか試してみる(どうしても毛布が見つからない…)」「救助笛を吹いてみる(意外と大きい音!)」「自宅まで歩いて帰ってみる(足が痛い)」「テレワークしてみる(社内ネットワークに接続方法がわからない)」など、実際に行動してみて初めてわかることがあります。加えて、社員自身が行動することで自分ごととして考える、それが企業の地震対策・BCPのはじめの一歩ではないでしょうか。
 
1_org_103_02.png

オフィスのチカラ

この記事は、コクヨ株式会社が発行する冊子『オフィスのチカラ』に掲載されたものです。冊子『オフィスのチカラ』をご希望の方は、こちらのフォームの「カタログのご請求フォーム」の「家具単品カタログ」の枠に『オフィスのチカラ』最新号希望とご記入の上、ご送信ください。

オフィスのチカラ vol.9より転載
PAGE TOP