リサーチ

2020.02.14

1on1ミーティングは職場のコミュニケーション改善の一手となるか

成果を上げるために求められるのは「傾聴力」

ビジネスコーチ株式会社は、2017年10月4日~31日の期間、企業の人事部を対象に『1on1ミーティングに関するアンケート』を実施した。上司と部下のコミュニケーション改善のために、1on1ミーティングを取り入れる・取り入れようとしている企業が増えているが、意義あるものにするためには何が必要なのだろうか。190件の回答をもとに、1on1ミーティングの実際と課題を考察する。

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で対話を行うこと。部下の“管理”ではなく“育成”のために行われ、週に1回~月に1回くらいの頻度で定常的に実施される点が、人事評価面談等とは大きく異なっている。近年では、プライベートと仕事をきっちり分ける人が増え、仕事の延長上の個人的な付き合いが減ってきている。昔なら飲み会やゴルフの席で深めていた人間関係を、今の時代はどこで構築していけば良いか。そんな上司と部下のコミュニケーション改善の一手として注目され始めたのが、1on1ミーティングなのである。どんな企業でも気軽に始められるというメリットがある一方で、効果的に実践することは案外難しく、うまくやれているつもりで失敗している例も少なくない。
 
ビジネスコーチ株式会社が実施した『1on1ミーティングに関するアンケート』で、「1on1導入により得たい成果はなにか」を聞いたところ、1位は「職場におけるコミュニケーションの改善」で、80%近くの企業が、1on1ミーティングに上司・部下のコミュニケーション改善を期待している。1on1ミーティングは部下の育成を目的とするものだが、そのためにコミュニケーションを重視している企業が多いことがわかる。3位の「働きやすい環境の実現」も、上司と部下が円滑にコミュニケーションを取って、双方が働きやすい環境を作ることで、生産性やエンゲージメントの向上を目指したいものと推測される。
 
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また、1on1ミーティングの主なターゲットは若い世代であるようだ。「1on1はどの階層に実施するのが効果的だと思うか」という質問に対して、最も多かった回答は、「若手(新入社員~係長クラスまで)」、次に、「中堅管理職(次長・課長クラス)」が続いた。1on1ミーティングに「職場のコミュニケーション改善」が最も期待されていることを考えると、若手・中堅管理職の階層とのコミュニケーションに難しさを感じている企業が多いのかもしれない。1on1ミーティングの当初の目的である「育成」の面では若手がメインターゲットになるが、中間管理職にも効果が期待されているのは、双方のコミュニケーションのズレを解消するための施策としても、1on1ミーティングが有効だからではないだろうか。中間管理職が上司と部下の狭間で感じるジレンマの解消にも役立つ可能性がある。若手~中間管理職層は、円滑なコミュニケーションを実現することで、パフォーマンスの向上が見込まれる層でもあるのだろう。
 
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調査で集まった190件の回答のうち、1on1ミーティングをすでに導入している企業は32.1%だった。また、半年以内の導入を検討している企業が5.3%、導入することに興味がある企業は45.8%にのぼり、1on1ミーティングへの期待値の高さが読み取れる。
 

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しかし、本当に効果的な1on1ミーティングは、ただ1対1で対話をするだけでは実現しないこともある。1on1ミーティングは、あくまで部下の育成を目的とした上司と部下の“対話の場”である。“教育”や“管理”の色が濃くなると、個別指導や評価面接と似たような性質になり、本来の目的と乖離してしまうばかりか、かえって部下のモチベーションを下げる危険性もある。

 
では、1on1の効果をアップするためには、どのようなことが必要なのであろうか。「1on1を成果につなげるうえで、最も重要だと思うものは何か」という質問に対しては、「上司側の1on1スキル」という回答が最多であった。そのスキルの内容については、「1on1の質を高めるために最も重要だと思うコミュニケーションスキルは何か?」という質問への回答では、1位の「傾聴力」が8割を超えている。
 
 

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1on1ミーティングは、単に1対1で対話する場をセッティングすればいいというわけではない。その対話を有意義なものとして成功させる最大のコツは、部下の話を「聴くこと」であり、上司からの一方的な叱責や押し付けはタブーなのである。部下の話に耳を傾け(傾聴力)、部下の様子を見ながら(観察力)、適切な質問を投げかけ(質問力)、部下の本音を引き出す。部下を認めながら(承認力)、適切な回答やアドバイス、指導を行っていく(フィードバック力・ティーチング力)。部下が話しをしやすいように働きかけ、信頼関係を築くことが何より大切だ。

 
上司側に求められることは多いが、職場のコミュニケーションの改善、それを礎とした生産性やエンゲージメント向上のためには、まず磨くべきはコミュニケーションスキルということなのであろう。部下側にも積極的に対話をする姿勢を求めたいが、たとえ最初は消極的であっても、上司がうまくリードすることによって、双方にとって有意義な1on1ミーティングが実現されていくことを期待したい。
 
 
 
作成/MANA-Biz編集部
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