組織の力

2019.12.18

アイディアの生まれる場

どのような会社でも新しいアイディアを生み出すことは必要だと思いますが、ブレストと言いつつ会議室に長時間こもって頭をかかえている風景もよくあるのではないでしょうか? アイディアというと「これだ!」と一瞬にひらめくようなイメージがありますが、実はいくつかの思考のプロセスを経て生み出されるものなのです。アイディア生成のプロセスには様々な考え方がありますが、ここでは「刺激を受ける」「対話する」「試作する」「熟考する」という4つの行為に分けて、アイディアを生み出すための場がどうあるべきかを考えてみましょう。

刺激を受ける場
<インスピレーション>

全く何もないところからアイディアを生み出すのは困難なことです。ましてや日々の繰り返しの業務で考え方が固定化してしまうと、新しいアイディアをひらめくことはかなり難しいことでしょう。そこで、いつもとは違う情報や物に触れることや、ちょっとした会話をすることが気付きを得るきっかけになるわけです。
 
雑誌や書籍などの情報や、製品や素材サンプルといったモノがあり、異なる部署の人が気軽に立ち寄ってそれらをネタに話をできる場であればインスピレーションを得ることができそうです。ただし、情報やモノは置きっぱなしでは単なる景色になって刺激を与える力を失ってしまいますので定期的にメンテナンスを行うなど鮮度を保つ工夫が必要です。
 
 
 

対話する場
<ダイアローグ>

アイディア発想法の一つに「異質なものを組み合わせる」というものがあります。人と人の対話はまさに異なる考え方を組み合わせる場でありアイディアを生み出す力となります。しかし異なる発想を組み合わせるからこそ、考えていることをしっかり見える化しながらの共有が大切ではないでしょうか。
 
思いついたアイディアを書き留めて見比べたり、固人のパソコンにある情報を簡単に共有したり、必要な素材を気軽に持ち込める環境が必要です。また発言者を偏らせないため、上下関係を意識せずにリラックスしてみんなが話しやすい席の配置や雰囲気を作ることも大事です。
 
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試作する場
<プロトタイピング>

3Dプリンタの普及により立体物の試作が容易になり「ラピッドプロトタイピング」という言葉がよく聞かれるようになりました。精巧なものでなくても、考えているものを素早く形にして目に見えるものにすることで改善点が見つかりやすくなります。
 
そのためには、アイディアを簡単に形にするための道具や材料が整えられており、多少汚しても気にならないような作業スペースが求められます。隔離された作業室ではなく他の人にも見える場にすることで気軽に意見を聞くことができ、アイディアの精度をより高いものにすることができるでしょう。
 
 
 

熟考する場
<コンセントレーション>

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コミュニケーションを通して生まれるアイディアかある一方で、一人でじっくり考えることで思い浮かぶアイディアもあるでしょう。昔からアイディアが浮かぶ場として馬上、枕上、厠上の三上という言葉があります。余計な刺激がなくリラックスした状態でいることで、自分の頭の中の思考に集中できるからでしょう。

 
昨今のコミュニケーションを重視したオープンオフィスの中では忘れがちな視点ですが、集中できる環境は大切です。ブース席を設けるほかに電話や会話を禁止した集中室を設ける、眺めのよい窓際に席を設ける、食堂を仕事ができるようにするなどの実施例があります。
 
 
 

4つの行為を促す空問

以上4つのアイディアを生む場を紹介しましたが、オフィス空間には限りがあります。それぞれを別々の空間で用意するわけではなく、これらの要素をどのように組み合わせて空間に取り入れるかを検討してみてはいかがでしょうか。

 

オフィスのチカラ

この記事は、コクヨ株式会社が発行する冊子『オフィスのチカラ』に掲載されたものです。冊子『オフィスのチカラ』をご希望の方は、こちらのフォームの「カタログのご請求フォーム」の「家具単品カタログ」の枠に『オフィスのチカラ』最新号希望とご記入の上、ご送信ください。

オフィスのチカラ vol.5より転載