リサーチ

2019.10.28

どうすれば会議はもっと有意義になるのか

会議に対する満足度は従業員数に反比例?

仕事をするうえで「会議」は必要不可欠であるが、その会議の意義について疑問視する声は非常に多い。株式会社アイランドクレアが企画する「奇跡の会議法」映像化プロジェクト(※)において、2019年5月に『会議に対する意識調査(対象:全国の17才~55才までのインターン生、社会人)』が実施された。有効回答数102名の回答から、会議をもっと有意義なものにするための方法を考察する。

「奇跡の会議法」映像化プロジェクト

働き方改革で労働時間の削減が強く意識される中、時間を大幅に割かれるわりに成果を実感しにくい会議は、「真っ先になくすべきもの」として指摘されることもある。
では、ビジネスパーソンたちは現状の会議に、どの程度満足しているのだろうか。株式会社アイランドクレア企画の「奇跡の会議法プロジェクト」で行われた『会議に対する意識調査(2019年5月実施)』では、会議に対する満足度を5段階で示す項目が設けられている。その回答結果を見ると、会議に対する満足度と従業員数に深い関係があることが読み取れた。従業員数が多くなるほど、「満足度が低い(1~2)」と回答した人の割合が高くなる一方で、「満足度が高い(4~5)」と回答した人の割合は、500人以上の規模の会社において、著しく低いことがわかった。
 
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役職ごとに会議に対する満足度を集計すると、会議に不満を感じていると回答した社員は33%であったが、経営者・役員では71%と2倍以上の数値になっている。経営者・役員層は会議が多く、会議による拘束時間が長いことが一因ではないかと考えられるが、1日の会議時間ごとに満足度を集計した結果では、1時間以内の人で不満を感じているのが35%、3時間以上の人で36%という結果になっており、ほとんど差は見られない。拘束時間以外にも、会議を不満と感じる何かしらの大きな要因があると推測される。
「会議に対するお悩み」を具体的に質問すると、「発言する人がいつもだいたい決まっている(48%)」が半数近い票を集め1位となった。3位の「あまり議論が白熱しない(32%)」、4位の「参加者に意見を募っても、意見や対案が出ず、結局、社長やリーダーの案になりやすい(26%)」も1位と同種の意見であり、会議に対する各々の消極的な姿勢が問題視されている。これらは、経営者・役員層や、部課長クラスのリーダー層が抱きやすい不満であろう。
一方で、2位の「会議の時間がまったく楽しみでない。ワクワクしない。時間が経つのが遅い(35%)」や、7位の「参加者の多くが、どうせ自分の意見は通らないと諦めている(8%)」は、一般社員目線と思われる。ただ、5位には「意見が出たとしても、当事者としての意見というよりも、評論家的な意見になっている(25%)」とあるので、各々の発言内容の質についても見直す必要がありそうだ。
 
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「会議に対するお悩み」で6位に挙がった「参加者の多くが、会議で決まったことにあまり納得していない(11%)」という意見は、会議の成果が得られていないことを表している。しかしこれは、参加者の消極的な姿勢にも起因しているとも考えられる。「上層部が社員の意見を聞き入れないので、発言したくてもできない」という言い分がありそうだが、会議の結果に納得するためには、やはり自分自身が積極的に意見を出し、他者の意見にも耳を傾けながら、会議を「議論の場」にしていくことが大切なのではないだろうか。そうすれば、意見を出し始める人が増え、白熱した会議が実現するかもしれない。
 
働き方改革で、労働時間の削減が急務とされている昨今、「会議の時間を減らしたい」、「もっと効率の良い会議をしたい」と希望する企業が増えている。業務の質を上げるための会議が、時間ばかり消費して社員の足を引っ張っているような状況は好ましくない。
冒頭で、企業の従業員規模が大きいほど、会議に対する満足度が下がっていることを紹介した。従業員数の多い企業では、会議への参加者も増え、一人ひとりの意見を採用することも難しくなる。その結果として、会議が「議論の場」として成立しなくなり、満足度が下がるのではないだろうか。満足度の高い会議を実現するには、議論するテーマを明確にすることはもちろん、適性な人数や時間を設定することも重要なポイントとなりそうだ。
 
また、会議に対する不満の要因を探り、対処していくことで、会議への積極性や満足度を上げていくことが可能なのではないだろうか。その流れの中で、不必要な会議は自然と淘汰されていくかもしれない。会議は本来、活発な意見交換による業務効率の向上や、新しいアイデアの発掘等を目的として開かれているものだ。会議を「無くすべき」と判断する前に、もっと会議を有意義にするための方法を探ってみることが必要なのではないかと思われる。
 
 
 
作成/MANA-Biz編集部