リサーチ

2019.10.02

ビジネスパーソン43.8%の本音は「転職」より「1社で長く働きたい」

転職時のトラブルが主な理由。回避する方法は?

今の世の中では“転職”が珍しいことではなくなり、好意的に捉えられるようにもなっている。しかし、実際には転職に積極的なビジネスパーソンばかりではないようだ。転職エージェントや派遣会社等の評判・口コミサイトを運営する株式会社ウルクスが、2019年2月に実施したインターネット調査『就職・転職時のトラブルに関する意識調査(対象:働く20代~50代の男女162名)』から、転職のリアルを紹介する。

終身雇用時代が終焉を迎え、転職売り手市場が続く現在、かつて抱かれていたような転職に対するマイナスイメージはなくなった。転職を「元々の職を続けられない人が選ぶ苦肉の策」と捉えるのではなく、「スキルアップ、キャリアアップのための手段」と考える人が増加している。また、自身が理想とするワークライフバランスの実現のために転職を選ぶ人もいる。
 
しかし、株式会社ウルクスが実施した『就職・転職時のトラブルに関する意識調査』においては、「あなたは今後どのように働きたいですか?」という質問に対して、半数に迫る43.8%が「1社で長く働きたい」と回答している。それに対して、「転職を重ねキャリアアップしたい」は8.7%、「独立したい」は8.0%と、転職を前向きに捉える回答は意外にも少ない。転職売り手市場の背景には、単に求人が多いというわけではなく、「転職希望者が少ない」という側面もありそうだ。また、根底には社会全体の“人材不足”の問題も潜んでいるかもしれない。
 
また、「本業・副業を両立させたい」という回答をした人が32.7%にのぼっている点も興味深い。主な仕事と副業の2本柱を持ちたいという考え方は、働き方が多様化してきた現代ならではの発想だ。一社で安定的に働きたいが、収入は増やしたい。そう考えたとき、より給料の良い会社に転職するより、副収入を得てプラスにするほうが理想的または現実的であると考える人が多いようだ。
 
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では、「転職は収入アップ、スキルアップ、キャリアアップのためのひとつの手段である」と認識され始めて久しいのに、転職希望者が意外にも少ないのは何故なのであろうか。ビジネスパーソンが転職をためらう大きな理由のひとつに、「転職時のトラブル」がある。転職を検討し始めたとき、ほとんどの人が転職経験者の体験談をリサーチしたり、身近な経験者に話を聞いたりして、転職時に起こり得るトラブルの実態を知る。また、退職するまでのことを具体的に想像して、その道程の険しさに尻込みすることもあるだろう。実際に、「就職・転職時に企業とトラブルの経験がある」という回答は半数を超え、56.2%にのぼっている。
 
 
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トラブルの内容としては、「在籍企業とのトラブル」が38.3%、「就職先・転職先とのトラブル」が36.2%で2トップとなっている。在籍企業とのトラブルの具体例で多いのは“引き止め”で、転職先が決まってから退職願を出したら引き止められたというケースが多い。企業目線からの“引き止め”の理由は、社員の能力を惜しむ気持ちであったり、人材不足であったりする。転職者ができることは、在職企業に筋を通すためにも、転職先の企業に迷惑をかけないためにも、ひいては自分を守るためにも、退職願を出すタイミング等を慎重に検討する必要がありそうだ。また、退職に関する社則を遵守することも大切だ。
 
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転職のハードルはトラブルだけではない。現職と転職活動の両立や、新しい環境へ飛び込むストレス、仕事のノウハウや人間関係をゼロから構築することにも、相当なエネルギーが要る。働き方が多様化し、収入アップ、キャリアアップの手段が“転職”だけではなくなった今の時代、余程のことがないかぎり「転職したい」とは思わないのかもしれない。現に調査結果からは、「条件さえ合えば1社で長く安定的に働きたい」と考えている人が多数派であることが読み取れる。その条件とは、給与や業務内容の問題だけではなく、「残業や休日出勤が少なく、プライベートの時間を確保できるかどうか」といった、ワークライフバランスの面からも判断されていると推測される。現代では男女問わず、仕事と育児や介護の両立がしにくいといった家庭の事情はもちろん、若者なら趣味や息抜きに費やす時間がないといった理由で、転職を選ぶワーカーも珍しくないのだ。
 
パワハラやモラハラなど深刻な要因を抱え、転職せざるを得ない状況に追い込まれるケースも少なくないが、転職に際してかかる労力やトラブルの可能性を考えると、“売り手市場”に踊らされず、フラットな感覚で判断する必要もある。「職場で嫌なことがあった→転職すればいい」と直結させず、転職のリスクも知ったうえで行動したい。目的を明確にして、冷静に見極める目を持つことや、社会人としての自分を客観的に省みることも重要だ。そのために、周囲への相談、転職エージェントの活用といった手段も取り入れていくと良いのではないだろうか。
 
 
 
作成/MANA-Biz編集部