ビジネスシーンで要注意ワード

2019.01.28

「足下(あしもと)をすくう」という 慣用句は存在しません

本日のチェックワード 75「足下をすくう」

「彼が競合チームのリーダーと通じていたなんて、足下をすくわれた感じだよ」

 同期の友人が、後輩について上記のようなグチをこぼしています。この言葉を聞いて、「何かが違う」と感じませんか? ここで違和感のもとになっていると思われるのが、「足下をすくう」という言い方。「相手の隙につけ入った行動で失敗や敗北に導く」といった意味でよく使われる表現です。
 しかし、この意味を表す慣用句として辞書に載っているのは「足をすくう」で、「足下をすくう」は誤用とされています。「足下」は「立っている足のあたり」を示す言葉であり「すくう」(下からサッと持ち上げる)ことはできないから、と説明されることが多いようです。
 ただし文化庁が発表した2007年度の「国語に関する世論調査」によると、「足下をすくわれる」と「足をすくわれる」では、7割以上の人が「足下をすくわれる」を使っているとのことです。どちらが正しいと言い切れない面もあるので、ビジネスシーンでは「裏切られたよ」などシンプルな表現を使った方がよいかもしれません。
 

監修/篠崎 晃一(Shinozaki Koichi)

東京女子大学教授。専門は方言学、社会言語学。『例解新国語辞典』(三省堂)編修代表や、テレビ番組「ワーズハウスへようこそ」(日本テレビ系)の監修など幅広い分野で活躍。『えっ?これっておかしいの!? マンガで気づく間違った日本語』(主婦の友社)など、日本語の誤用に関する著書も多い。

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