チェックワード

2018.11.09

「うがった=ひねくれた」と 思っていませんか?

本日のチェックワード 71「うがった」

うがった見方だけど、彼女が朝の勉強会に参加するのは婚活のためじゃないかな」

同僚との間で社内の噂話になり、上記のような意見が出てきたら、あなたはどんな言葉を返しますか? 「彼女もスキルを上げようと頑張ってるんだから、意地悪な見方はやめたら?」などと答えた人は、「うがった」という表現の意味を取り違えているかもしれません。
「うがった」は「うがつ(穿つ)」という動詞の連体形。「穿つ」の語意はもともと「孔(あな)をあける」で、転じて「広くは知られていない点を言い表す」や「裏の事情を詮索する」という意味にもとられるようになりました。特に後者の意味がネガティブなニュアンスとして受け止められ、「うがった=意地悪な」と解釈されるようになったのです。近年は上記のケースのように、「うがった見方」というひと続きのフレーズで用いられることが増えています。日常会話では「うがった見方=ひねくれたものの見方」というとらえ方が定着しています。
 以上のことを考えると、上記の発言は必ずしも「うがった見方」とはいえないことになります。気の置けない同僚の発言なら「『うがった』は『意地悪な』っていう意味じゃないよ」などと教えてあげるのもよいかもしれません。
 

この使い方で差が出る

・Fさんの指摘は、一般的ではないけれどうがった見方といえますね。
 

監修/篠崎 晃一(Shinozaki Koichi)

東京女子大学教授。専門は方言学、社会言語学。『例解新国語辞典』(三省堂)編修代表や、テレビ番組「ワーズハウスへようこそ」(日本テレビ系)の監修など幅広い分野で活躍。『えっ?これっておかしいの!? マンガで気づく間違った日本語』(主婦の友社)など、日本語の誤用に関する著書も多い。