リサーチ

2018.11.28

出産退職の経済損失1.2兆円!

仕事と子育ての両立に足らないものとは?

近年、多くの企業で産休・育休制度が整備され、出産後も女性が仕事を続けやすい環境が整ってきたように思われるが、出産を機に退職してしまう女性もまだまだ多いようだ。第一生命経済研究所によると2017年の一年間で20万人にも上るというのだ。出産退職では女性自身の収入が減るだけではなく、企業活動にも大きなダメージが出る。調査結果から子育て世代が働きやすい職場づくりを考える。

出産退職による経済損失はどの程度になるのだろうか。厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2016年)を元にした試算では、20万人の女性が失った所得は賃金ベースで約6360億円となった。他方、企業側の損失も見過ごせない。女性が働き続けていた時に比べ、企業が失った企業利益約5380億円(減価償却費などを含む)などを併せると、「経済損失額」はおよそ1.2兆円にもなる。
 
 
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家事・育児に専念するために自発的に退職する人もいる一方、仕事を続けたかったが、育児との両立が困難であることを理由に退職する人は依然として多い。その内容を詳細に見てみると、「勤務時間があいそうもなかった(あわなかった)」「育児休業を取れそうもなかった(取れなかった)」「職場に両立を支援する雰囲気がなかった」など、会社側の対応不足を示唆する理由が挙がっていた。
 
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実際、厚生労働省の調査によると、妊娠がわかった時に会社から何らかの働きかけがあったかという問いに対し、男性正社員77%、女性正社員35.4%、女性非正社員57.4%が「特にない」と回答。3割以上の会社で当事者の女性に対しても支援が不十分だということに驚かされるが、親という立場で共に支えあう存在である配偶者の男性に対する働きかけが少ない点も深刻だ。また、女性でも雇用形態の違いで企業の対応に差があることも問題である。
 
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女性の出産退職を減らすためには、「勤務時間の柔軟性」、「休暇の取得しやすさ」、「職場の育児への理解」など、企業側のサポートの充実が欠かせない。テレワークの導入で柔軟な勤務体系を整えたり、社員が休みを取得しやすい風土を醸成することが対策となりうる。職場の理解という面では、時短勤務や休暇取得に対する同僚やチームの理解だけでなく、夫が育児に協力しやすいよう、現状はあまり浸透していない子育て世代の男性社員へのサポートも大切だろう。
 
 
 
【出典】
●第一生命経済研究所「出産退職の経済損失1.2兆円
 
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