仕事のプロ

2018.08.06

オフィスで「怒り」を爆発させないために

アンガーマネジメントのスキルが職場を変える

近年、怒りと上手につき合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」がビジネスシーンにおいて注目され、研修プログラムに取り入れる企業が増えつつある。日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介氏は、「ビジネス環境が変化を遂げる中で、これまで以上に怒りのコントロールが重要になっています」と語る。仕事の場においてなぜ今、アンガーマネジメントが求められているのか。「怒りをコントロールする」とは具体的にどのようなことなのかをお聞きした。

ささいなことで怒るのは
自分にとって損でしかない

また、実際に怒るかどうかとは別に、「怒りたくないのに、イライラすることが多くてつらい」と悩む人も少なくない。安藤氏はこの悩みに対して、「心のコップを大きくしたり、水を抜いたりすることが必要」とアドバイスする。

「私はよく研修で、コップの水に例えて怒りの感情を説明します。コップの中にネガティブな感情がたまっていくと水位がコップの中でどんどん高くなり、怒りとしてあふれ出るというわけです。しかし、怒ってばかりでは自分自身も消耗しますし、周りからも『怒りっぽい人』とマイナスの評価をされやすく、損をしてしまいます。ささいなことで怒らないようにコップの容量を大きくしたり、水がたまってきたら適度に抜いたりしていく方が、自分にとっても生産的ではないでしょうか。アンガーマネジメントでは、そのための方法もお教えしています」

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アンガーマネジメントは
誰にでも習得できる

感情を爆発させず上手に怒りを伝えることも、ちょっとしたことで怒らなくなることも、実現できればそれに越したことはない。しかし、「自分の性格では無理そう」と感じる人も多いのではないだろうか。しかし安藤氏は、「性格にかかわらず、アンガーマネジメントのスキルは習得できる」と話す。

「アンガーマネジメントは、性格を変えるためのものではなく、考え方や習慣、行動を変えるプログラムです。ですからどんな人でも、何歳からでも習得は可能です」
実際にアンガーマネジメントの手法を実践していくと、怒りの頻度は下がるという。スキルを身につけることによって、同じできごとに対してもとらえ方や対処法が変わっていくためだ。安藤氏も、「私自身、アンガーマネジメントを学ぶまでは周りと衝突してばかりでしたが、今ではキレることはほとんどありません」と言う。

アンガーマネジメントの詳しい手法は、ビジネススキルの連載でシーン別に詳しく紹介していく。怒りのコントロールスキルをビジネスに取り入れていくことで、自分のメンタルヘルスも職場環境も、確実に向上するだろう。



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安藤俊介(Ando Shunsuke)

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。アメリカでアンガーマネジメントを学び日本に導入した、アンガーマネジメントの第一人者。企業や官公庁、医療機関などでの講演・研修を通してアンガーマネジメントの普及に努める。『イライラしなくなるちょっとした習慣』(大和書房)、『はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。著作は中国、台湾、韓国などでも翻訳され、累計30万部を超える。

文/横堀夏代 撮影/ヤマグチイッキ