仕事のプロ

2018.04.26

企業内の常識にとらわれず新風を起こす〈後編〉

自ら働きかけて異業種間コラボを実現

「うちでは前例がないから」という声に勝てず、実現を見ない企画は多いのではないだろうか。しかし一方で、「社内の常識」という壁を越えて世に出る商品やサービスもある。そんな「社内初」を次々と実現するカゴメ株式会社家庭用営業三部の辻本美紀さんに、総合オンラインストアAmazon.co.jp(以下、Amazon)とのコラボレーション企画について経緯をお聞きした

上位層に最初から働きかけて
実現率を高める

ワークショップ開催にあたって辻本さんが配慮したのが、「初期段階から組織の上位層を巻き込むこと」だった。実際、辻本さんらの声かけによってAmazonのバイスプレジデントとカゴメの常務が出席している。

「上位層の了解をとらずに社員たちだけで企画を進めていては、せっかくよいアイデアが出ても実現しないのでは、という危惧がありました。そこで、勇気はいりましたが、初期段階から率直に常務に声をかけたんです。弊社は長らくスーパーなどを中心とした商売をしてきて、eコマースはまだまだ未知の部分が大きい領域です。その意味で、Amazon様とのコラボ活動は大きなチャンスだと常務も感じてくれたようで、反対はなかったですね」

カゴメ初の焼き菓子開発や異業種とのコラボ。辻本さんが手がけてきた事業の根底にあるのは、「とにかく商品のファンを増やす」「常に課題意識をもって行動し、チャンスを逃がさない」「初期段階から上位層に働きかける」といった、ブレがなく力強い行動だ。イノベーションを起こそうとする時に必要なのは、シンプルに考えることと、フットワークの軽さ、そして強い熱量なのかもしれない。

2_bus_047_02.jpg


辻本 美紀(Tujimoto Miki)

カゴメ株式会社東京支社家庭用営業三部一課主任。2005年入社。九州支店での営業職を経て2010年にギフト事業部配属となり、カゴメ創業以来初の焼き菓子『トマッティーニ』の開発を手がける。2015年より東京支社営業三部一課でeコマースの営業に携わり、Amazonとの共同プロジェクトを実施。


カゴメ株式会社
1899年創業。トマトなど野菜の恵みを活かした飲料や食品を提供し、消費者の健康に貢献する食品メーカー。近年は“「トマトの会社」から「野菜の会社」に”というブランドステートメントを掲げ、生鮮野菜やジュース、調味料、冷凍素材、サプリメントなど野菜を手軽に摂取できる商品や、野菜に関する健康情報を提供している。

文/横堀夏代 撮影/荒川潤