PDCA

2017.09.27

PDCAサイクルとは?

PDCA4:PDCAサイクルを営業に活かそう

PDCAサイクルを営業活動に活かす

今回は、ある営業マンの活動の中で、具体的にどうPDCAサイクルを回していくか、活かしていくかを見ていきたいと思います。具体例なので、実際に日々の仕事の中でPDCAをどのように回すか、身近に感じ取れると思います。

登場する人物は、ある食品メーカーに勤める、入社3年目の営業マンAさん。自社が扱う食品をスーパーなどに販売しています。


Plan:営業活動も計画作りからスタート

Aさんの職場では、毎月月初めは、営業マン全員参加の「営業会議」からスタートです。この場面でも、PDCAのPlan(計画)が重要です。
部門全体の目標数字があり、そこから、営業マンごとの目標が割り当てられます。その先は、個人が自分で営業の計画を作ることが求められます。Aさんは、昨年より少し多い「昨年度比110%」の売上を達成するよう、今回の部門会議で決まりました。

Aさんは、早速目標を設定します。「110%の売上」を達成するためには、昨年より「新規取引先を増やす」または、「1社当たりの取引量を増やす」ことが必要です。どちらが実現しやすいか考えた上で、「新規の取引先を30社訪問する」ことにしました。

次にスケジュールを組みます。いつも訪問している既存のお客様を訪問しないわけにはいきません。そこで、新規のお客様への訪問を、毎週10件として自分のスケジュールに組み込みました。


Do:日々の営業活動でも優先順位を考える

Aさんは次の日から、既存の訪問先に加えて、新規のお客様への訪問を1日に数件入れていきました。ただ、突然、別のお客様から呼び出しを受けたり、本社に戻って対応しなくてはならない事務作業が発生したりと、予定通りには行きません。

ここで大事なことが、優先順位を考えることです。
お客様への呼び出し対応は、クレームだったら緊急事態ですが、本当に自分が急いで訪問する必要があるのか、事務作業も今日やらなくてはならない事か、一旦立ち止まって重要度と緊急度を判断し、スケジュール調整をするべきです。

時間や労力には限りがあります。限られた中で、どう優先順位をつけやりくりしていくか、本来の計画と照らし合わせて、Aさんは新規訪問を続けていきました。


Check:毎週、計画の進捗度合いを確認する

この新規訪問を始めてから、2週間が経ちました。当初の計画では、毎週10件という目標でしたので、2週間が終わった時点で、20件は新規訪問していたいところです。

さて、check段階で大事なことは、2つありました。1つ目はこのcheck自体をしっかり行うこと。やりっ放しにしないこと。もう1つは、計画通り進んでいるかを確認することでした。

Aさんは、毎週checkを行うという計画も立てていましたので、1つ目はOKですね。
もう1つの進捗はどうでしょう。2週間経ったところで、新規訪問件数を改めて確認してみると、7件と計画通りに進んでいませんでした。また、そもそもの目標である「売上110%」の達成はどうなっているのか、この点も確認しました。結果、残念ながら売上110%には到達していませんでした。ただし、新規の取引先は数件開拓ができている、という状況でした。



原 佳弘(Hara Yoshihiro)

Brew(株)代表取締役。人材育成プロデューサー/マーケティングコンサルタント、中小企業診断士、中小企業基盤整備機構認定 人材支援アドバイザー。1973年生まれ。横浜市立大学卒業。(旧)建設省所管の市場調査機関にて経営企画を担当後、法人向け研修・コンサルティングを行う会社へ。階層別研修から営業やマーケティングなど専門領域の研修やコンサルティングの設計を10年以上行う。2014年、Brew(株)設立。専門分野を持った300人以上の講師コンサルタントとパートナーを組み、企業課題に応じたマーケティングコンサルティングや人材育成を企画提供している。著書に「研修・セミナー講師が企業・研修会社から選ばれる力(同文館出版)」がある。

イラスト/ちぎらはるな