コーチング

2017.02.10

「期待している」と思わせれば、部下は能力を発揮する

コーチング7:部下の美点を伸ばす「フィードバック」を心がける

「Iメッセージ」を使いこなして
部下へ期待値を伝える

フィードバックに限らず、部下のやる気を引き出すアドバイスの仕方に「Iメッセージ」があります。
通常、上司は「あなたは、こうしなさい」など、「YOU」を主語にしたメッセージを多用するもの。これとは対照的に、主語を「I(またはWE)」に替え、「私(たち)は、あなたがこうしてくれると嬉しい」といった表現で、部下に対する期待値を伝えるのが「I・WEメッセージ」です。人は相手の期待に応えたいという欲求があるもの。部下に対しても、期待の度合いをうまく伝えることで、それに応えようと頑張ってくれるのです。
Iメッセージには、つくり方のコツがあります。次の3つの順で、言いたいことをまとめてください。
 
相手の行動・状況を、批判がましくなく述べる=事実
上記による波及効果を伝える=影響
あなたの素直な心情を伝える=感情

例えば、ある美容院で新人が掃除をしたあと、床に髪の毛が残っている......。そんなとき、店長が次のように伝えたところ、新人の態度が一変しました。

「あそこに髪の毛が落ちているのが見える?(事実)」
 ↓
「僕はこの店を愛していて、お客さんにもきれいで気持ちがいい店と思ってもらいたいけれど、床に髪の毛が落ちていたら、お客さんはだらしない店と思うかもしれない(影響)」
 ↓
「だから僕は、床に髪の毛が一本もない状態だと、すごく嬉しいんだ。掃除してくれないかな(感情)」

このように、Iメッセージを使いこなせるようになると、部下は上司の話をきちんと聴くようになります。


部下の改善点ばかりでなく
いい点にフォーカスする

フィードバックには、①ポジティブフィードバック=部下のいい点を評価し、さらに強化するための働きかけ、②改善フィードバック=反省を促し、改善させるための働きかけの2つがあります。人はほめると、自らのポテンシャル以上の能力を発揮するもの。フィードバックを与えるときも、ポジティブを8割、改善を2割のバランスで伝えると、部下の成長につながります。しかし、現実はこの逆の割合で接している上司が多いものです。
説教や命令ではなく、Iメッセージをうまく取り入れながら、多くのポジティブなメッセージを積極的に部下に伝えていきましょう。

岩本 好之(Iwamoto Yoshiyuki)

大学卒業後、国内金融機関で営業、営業企画、IT、人事など幅広い領域で実務とマネジメントを経験。米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社で、数多くのシックスシグマ手法による問題解決プロジェクトの推進、成果実現、および人材育成に携わる。大手金融機関にスカウトされ、教育部門の責任者として全社的な経営品質改善活動の推進、経営戦略から見た教育ニーズの整理、および各種研修の企画立案、実施等に従事する。現在は、企業研修、セミナー講師として活躍。NLPマスタープラクティショナー、基礎心理カウンセラーの資格を有し、コーチング・カウンセリングにも取り組む。

イラスト/海老佐和子