リサーチ

2017.01.27

介護と仕事の両立に求められるもの「大介護時代」がやってきた!

介護体験者の声に現れた本当の不安とは?

団塊世代が70歳代に突入し、要介護状態になる高齢者が今後ますます増加していくことが予想される。しかもその介護者となる団塊ジュニアは企業の中核を担う立場の人も多い。そんな中「介護離職」が増加すると、本人のキャリアはもちろん、企業経営にも深刻な打撃となるだろう。

一般社団法人日本能率協会が「第6回ビジネスパーソン1000人調査」において、全国の20歳~69歳までの男女、正規・非正規雇用の就業者を対象に調査したところ、企業離職を「できればしたくない」と答えた人が27.4%、「しない」と答えた人(19%)と合わせると、約半数近くの人が拒否反応を示した。やはり介護のためとはいえ、今の収入やキャリアを投げ捨てることは現実的に無理があるのだろう。
 
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それでは、仕事と介護を両立していく場合、何が不安なのか。この調査では、介護経験のあり・なし別のデータがあるため、両者を比較すると介護に対するイメージと現実の差が見えてきて興味深い。
「あなたが介護をしながら仕事をする場合、仕事にどのような影響があると思いますか?」という質問では、両者ともに「就業時間に制約がでる」という答えが1位。特に介護経験者は、非経験者を10ポイント以上も上回る47.8%がそう答えている。さらに両者の“差”に注目して見ていくと、「仕事以外の付き合い(飲み会など)ができない」と答えた人が、非経験者が11.3%だけなのに対し、経験者は27.8%。
また、「給料が下がる」という答えでは、非経験者が27.2%なのに対し、経験者が25.4%と若干下回っている。
 
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また、「ご自身の家族の介護において、不安に感じる(感じた)ことは何ですか?」という質問で、介護非経験者は経済的な負担を最も不安に感じているのに対し、介護経験者は「時間」に関する不安が大きい。
介護経験のない人は、経験がないゆえに、介護では実際どのような面でお金がかかるのか、どのような支援制度が受けられるのかという点の知識が乏しいことが、より不安を増大させるのかもしれない。
しかし、実際に介護を経験すれば、むしろ「息抜き」や「ストレス発散」の機会のほうがずっと切実なものなのだろう。
 
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ちなみに「介護離職」防止のために介護経験者が職場に望むものとしては、1位が「介護する社員に理解がある社風」であり、2位が同率で「上司・同僚の理解」と「フレックスタイム制度」、そして次に「介護休暇制度」となった。
 
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「介護離職ゼロ」を目指すには、たまの息抜きもできる程度に、働く時間への企業の柔軟な対応と、両立支援制度をストレスなく利用できる、介護者に対して理解のある職場の空気づくりが重要になってくるようだ。
 
 
(出典)一般社団法人日本能率協会グループ「ビジネスパーソン1000人調査」をもとに作成
 
作成/MANA-Biz編集部