コーチング

2016.11.11

部下の話を「傾聴」することが、コーチングの第一歩

コーチング4:部下と話をするときは、アドバイスも説教も不要

「傾聴」するときは
耳・目・心のすべてを研ぎ澄ませて

そもそも「傾聴」とは、五感を駆使して相手の心の声を共感的に聴くこと。「聴く」ことと「聞く」ことは違うのです。

●聞く=単に音が耳に入っているという受動的な状態
●聴く=内容を理解しようと、能動的に耳を傾ける状態

傾聴の「聴」という字は、「耳」「目」「心」から成り立っています。声を耳に入れ、目で相手をしっかり見て、言葉の裏にある思いや心を理解する。これが傾聴です。
話を聴いている途中でアドバイスや説教に走ってしまうのは、聴き手ではなく語り手になっている状態。まずは、聴き手に徹しきちんと「傾聴」することを意識しましょう。



聴いている姿勢を示すことで
話しやすい雰囲気が生まれる

傾聴するうえでポイントとなるのが、「あなたの話をきちんと聴いています」と部下に伝えること。そうした姿勢を示すのが、次の7つの習慣です。その結果、部下は「自分の言いたいことを理解してもらえた」と感じ、さらに話しやすい雰囲気が生まれるのです。


【基本動作】
うなずき→きちん聴いているというサイン。おおげさなくらいがちょうどいい
あいづち→同上
アイコンタクト→正対して、やさしい眼差しを向ける。ながら聴きはNG

【理解を示す】
オウム返し→相手の話の語尾やキーワードを何気なく繰り返す
要約→相手の話を整理してフィードバックする。「つまり~ということですか」など

【ペースをつくる】
沈黙→相手が話し出すのを待つ。相手の話の腰を折らない
うながし→話をもっと聴きたいというサイン。「それで」「くわしく聴かせて」など

これらの習慣はトレーニングをしないと身につきません。たとえば「今日は大きくうなずく日」と決めて実行するなど、少しずつスキルを磨く努力が必要です。
また、上司が「相手は自分で答えを見つけられる」と信じた分だけ、部下は伸びていきます。部下を信じて傾聴することで、「誰もが発言できるんだ」という空気が職場全体にでき、社員全員が働きやすく、居心地のいい職場環境ができあがるのです。

岩本 好之(Iwamoto Yoshiyuki)

大学卒業後、国内金融機関で営業、営業企画、IT、人事など幅広い領域で実務とマネジメントを経験。米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社で、数多くのシックスシグマ手法による問題解決プロジェクトの推進、成果実現、および人材育成に携わる。大手金融機関にスカウトされ、教育部門の責任者として全社的な経営品質改善活動の推進、経営戦略から見た教育ニーズの整理、および各種研修の企画立案、実施等に従事する。現在は、企業研修、セミナー講師として活躍。NLPマスタープラクティショナー、基礎心理カウンセラーの資格を有し、コーチング・カウンセリングにも取り組む。

イラスト/海老佐和子