組織の力

2016.08.30

30年以上健康経営を支えるサンスターの「心身健康道場」〈後編〉

経営にも好影響を与える社員の健康という価値

「企業のウェルビーイング」の重要性が叫ばれるはるか以前、1985年より30年間にわたって、社員の健康維持をサポートし続けている同社の福利厚生施設「心身健康道場」。現在は、メタボ、高血圧、高血糖症など、年に1度の健康診断で特定保険指導対象になった社員が道場に泊まり込みで、2泊3日のプログラムを受けている。社員の体質改善に実際に大きな結果を出している道場の内容と、「健康」を意識することが組織に与える影響について、引き続き門脇さんに伺った。

食・身体・心を
包括的にケアするプログラム

2泊3日のプログラムで構成されている「心身健康道場」。下の表は、その2日目の概要。基本的には、どの日も運動、健康に関する講義などで構成されている。
 
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製品化にもつながった青汁と
玄米菜食

心身を健康にするためには、食事の改善が欠かせない。「心身健康道場」では、朝は青汁のみで、夕食前にも青汁を飲む。ブロッコリー、セロリ、キャベツ、りんご、にんじんなどの野菜や果物を、参加者が自分たちでミキサーにかけて、できたてを飲む。この青汁は社員にも好評で、自宅でも飲めるようパッケージ化され、さらにそれを社員以外の人にも飲んでもらいたいと、「健康道場」というブランドのもと、サンスターより製品化されている。
そしてメインの食事はすべて玄米菜食。1日約1200kcalを目安としている。肉、魚、卵、乳製品は一切使わずに美味しく食べられるものを提供するため、栄養士や調理師が試行錯誤を繰り返し、メニューを考えている。
 
 
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家でも継続してできる
運動方法を学ぶ

次に、講義や運動について。講義は管理栄養士や歯科衛生士など健康に関する専門家を招き、時には身体を動かすなどしながら、リラックスムードの中、働きながら健康を維持するために、普段の食生活の見直しからメンタル面のアドバイス、生活習慣病のリスクなどを幅広く学ぶ。運動も、ウォーキングや簡単な体操など、自宅でも続けられそうなものが基本。内容を覚えてもらうのと同時に、汗をかくことの気持ちよさも体感してもらうのがねらいだ。また、深さ1mのプールもあり、水中歩行やアクアビクスを行う。
 
 
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もうひとつ、健康道場ならではの取り組みが、「冷温交代浴」。 浴室には、約18℃の水と約42℃の湯船が2つあり、1分毎に交互に入浴する。これは自律神経のバランス回復や、疲労回復に効果があるという。道場長の門脇さんの話では、「やってみると意外とキツいのですが、上がったあとは非常に気持ちが良いんです。また、最後は水に入って上がるので、毛穴が引き締まり、身体の中の熱が逃げない。ポカポカと心地良い睡眠を促します」とのこと。自宅では、代わりにシャワーを使うと実践できるという。
 
 
 
文/イデア・ビレッジ 撮影/上田浩江