思考力

2016.06.27

あなたの評価は「創造的な仕事」のスピードで決まる

スピード思考術3:スピードの差は「創造的な仕事」では100倍

2つの仕事の違いを知って
スピードアップの方法を考えよう

仕事の処理速度をスピーディーにしていきたいと考えている人は多いと思いますが、そもそも仕事にはタイプのことなる2種類のものがあります。それは「創造的な仕事」と「定型的な仕事」の2つです。
 
創造的な仕事=アイデア出し、企画立案など→ゴールが決まっていない仕事
定型的な仕事=データ入力、月次報告の資料作成など→ゴールが決まっている仕事
 
誰でもこの2つの仕事を交互に行っているのではないかと思いますが、ざっくり言うとその比率は「創造的な仕事」:「定型的な仕事」=2:8くらいの人が多いのではないでしょうか。
「創造的な仕事」と「定型的な仕事」の進め方は全くと言っていいほど違いますが、仕事が速い人と遅い人ではその差も大きく異なります。
 
「定型的な仕事」で考えてみると、たとえば、データ入力やパソコンで報告資料を書くといった作業をするとき、速い人と遅い人では5~10倍の差が出ると思います。
「定型的な仕事」の効率化の方法としては「熟練による作業のスピードアップ」「同じ仕事をまとめてやることによる効率化」「パソコンのノウハウ獲得(ショートカットキーなど)によるスピードアップ」「スキマ時間の活用」などですが、時間さえかければアウトプットはできますので、それほど大きな差にはならないでしょう。
 
 
 

「創造的な仕事」のスピードは
100倍以上の差がつく

一方で「創造的な仕事」の場合、仕事が速い人と遅い人では100倍以上の差が出ることがあります。例えば、アイデアを出すのが得意な人が10分で考えた企画と、苦手な人が1000分(約11時間)かけて考えた企画が同じなんてこともあるものです。
質の面でも、仕事が速い人が1日で考えたものと、遅い人が10日で考えたものでは、たいていは前者のほうが良い企画になっているものでしょう。
それではどのように創造的な仕事に取り組めばいいのでしょうか。創造的な仕事にはヒラメキが必要だと思われがちですが、創造的な仕事をするための思考手順を理解することが大切です。
 
具体的には「情報収集」→「アイデア発散」→「選択・決定」の順番で考えています。クリエイティブと言ってもいきなりアイデアは思いつかないものです。
 
「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」と言われます。つまりアイデアの元となる情報がないとクリエイティブな発想はできないわけです。そのためにまずは与えられた仕事に関する情報収集(もちろん、自分の頭の中に眠っている知識も含めて)することが大切。できれば紙に書き出して、それらの情報を俯瞰して見てみましょう。
 
次に、アイデアを出します(アイデア発散)が、ここでの注意点はアイデアの良し悪しを判断せずに数多く出すということです。10~30個くらい出すつもりで、ダメアイデアも拾い上げます。
 
ここで初めて、選んで決める(選択・決定)段階です。有力なアイデアを直観で3~7個まで絞り込んで、比較します。そして、どのような判断軸で決めればいいのかなと頭を切り替えます。選択肢を考えることと判断軸を考えることの違いを意識しましょう。仕事の速い人は判断軸が明確なので、迷いません。結果、決めるのも速くなるというわけです。
 
この手順でアイデアを出すと、あれこれと迷わなくなります。結果、仕事が遅い人と比べて圧倒的に早い時間で質の高い仕事ができるようになるのです。

下地 寛也(Shimoji Kanya)


コクヨ㈱入社後、行動と環境(創造性、コミュニケーション、場のあり方等)に関する研究・分析を担当。2003年より、クライアントの企業変革のコンサルティングや研修コンテンツ企画を担当する。著書『コクヨの3ステップ会議術』(中経出版)、『コクヨの1分間プレゼンテーション』(中経出版)、『コクヨの5ステップ ロジカルシンキング』(中経出版)、『コクヨの「3秒で選び、2秒で決める」思考術』(中経出版)、『コクヨのコミュニケーション仕事術』(総合法令出版)



イラスト/フクイヒロシ