組織の力

2016.06.20

チャレンジ精神を忘れない、サイバー流の人材育成とは?〈前編〉

チーム・サイバーエージェントの作り方

新規事業や新規プロジェクトが社内から次々と生まれ、年齢に関係なく、責任ある役職につき、新しいことにチャレンジできる会社「サイバーエージェント」。1998年、広告代理店からスタートした会社は、インターネットという成長産業を軸足に、メディアやゲーム、インターネットテレビ局「AbemaTV」など次々と新しい事業に挑戦をしている。そのチャレンジ精神溢れる人材をどうやって育てているのか? サイバーエージェントの人材育成、企業文化の育み方について、社長室長の胆畑匡志さんに伺った。

「私」ではなく
「私たち」で仕事ができる人材

「本当に採用に全力投球なんですよ。企業文化にあった人を採用することが何より大事。よく『サイバーエージェントってカルチャーがブレないですね』と言われるんですが、そういう人を採用していることが大きい。ここが合っていたら、実は人材育成って、そんなにいらないんです」

面談・面接は年によって異なるが5回程度。テストはなく、とにかく対面することで採用を決めていくため、時間も労力もかかっている。でも、労力をかけたところで、会社に合った人材を見抜くことができるのだろうか?

「カルチャーに合っていると思う人を採用するのが第一。" こういう人材が欲しいよね " と感じている採用担当が面接し、その人が " 一緒に働きたい " と思う人材を採用しているから、納得感はありますよね。ただのチェックシートじゃなくて、自分のチームに欲しいってことが大事。この価値観があるから、カルチャーがブレないんだと思うんです。もちろん、能力が高いに越したことはありません。でも、ひとりの力って、たかがしれています。チームで成果を出すことのほうが何倍も大きい。なので、チームで力を出せることに共感できる人に基準を置いているんです。我が強くて、主語が常に「私」でも、それが、だんだん「私たち」になれる人。チームを大切にすることが、自分を大切にすることだっていう価値観がある人です」



「素直でいいやつ」が
採用時の合言葉にも

「野心、前向き、前のめり、愚直......なんかもキーワードなんですね。チームで成果をあげることに共感できて、野心があることって、すごく大事なんです。野心がなかったら、やっぱり新規事業はこんなに生まれませんから。『素直でいいやつだっけ? 』と、問いかけたりする場面は多いです。素直って言葉だけを抜き出すと、どうしても言われたことをこなしてくれる人という受身なイメージがあるかもしれませんが、僕たちの間では、個性的で野心があって、不器用みたいな人も素直なんです。変化の激しいインターネット産業だからこそ、環境の変化に柔軟に対応できる素直さが大事なんですね。また、笑顔がいいというのも一つのポイント。どんなに有能でも、頼みごとをしづらいとか、面倒だなーって感じる人とは働きたくないでしょ。そういう人って、チームの中で、個のパワーが発揮できないんです。だから、私たちの採用は、笑顔とか、素直とか、いいヤツとか、一緒に働きたい人が最も大事なベース。こいつとなら苦楽を一緒に乗り越えられるな! っていう感覚って、多分、間違っていなんです」



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マニュアル化して、言葉だけが一人歩きしていけば、多分、全く違った人を採用してしまうことは安易に想像できる。それが、一人歩きすることなく、ひとつの価値観、共通の認識が出来あがっているというのがサイバーエージェントの強みだ。そこに至るには、多くのコミュニケーションを重ね、まさに一丸となって、採用にあたっている様子が手に取るように伝わってくる。

「採用のベースは " 一緒に働きたい人を採用すること " と、とってもシンプル。でも、そのカルチャーを根づかせる工夫は、社長を含め、全員が全力で作り上げてきたものかもしれません。それが、今の " 「チーム・サイバーエージェント」の意識を忘れない " という、カルチャーの軸を生み出しているのです」

人材育成より、まずは採用。この段階で「チーム・サイバーエージェント」のカルチャーに合う人材がそろえば、育成はそんなに必要ないとも。後編では、全力で採用した人材を活かし、新しい事業を次々と生み出すサイバーエージェントらしい仕組みを紹介します。

文/坂本真理 撮影/ヤマグチイッキ