仕事のプロ

2016.06.09

起業家に学ぶ アイデアを生み出す思考術〈前編〉

“スタートアップ・ローンチ・プログラム”を知る

近年、アメリカを中心に、立ち上げから短期間で急成長する企業が注目を 集めている。このような企業を生み出す背景の一つとしてあるのが、起業家を育成し、事業の立ち上げまで支援する、スタートアップ・ローンチ・プログラムだ。いったいどのようなプログラムなのだろうか?その内容を探り、そこで行われているアイデアを生み出す思考術を学ぶべく、プログラムを提供するスタートアップアクセラレーターの一つ、Founder Institute(ファウンダー・インスティテュート)東京ディレクター奥田聡さんにお話しを伺 った。

ビジネスで勝ち残るための
助け合う力を身につける

プログラムでは、参加者一人ひとりが自分のビジネスアイデアをテーマに課 題をクリアしていくのだが、同時にチームワークも重視している。各チームは 講義に加えて週2回ミーティングを行うことが義務づけられており、アサインメントには“アイデアや仮説に対してチームメンバーからフィードバックをもらう/チームメンバーにフィードバックをする”というものが頻出する。課題解決という同じ目標に向かい、参加者同士が知識や経験を持ち寄り共有することで、相乗効果や化学反応が生まれるのだ。
 
「FIのプログラムでは、人との競争ではなく協力を求めています。実際にビジ ネスを展開する際にも、敵をつくるのではなく、周囲を巻き込み味方につけ ることができるリーダーが勝ち残っていきます。プログラムの課題を通して、仲間と協力しなければ越えられない壁があるということを、体感できるはずです」
 
さらにFIでは、同じ学期のプログラム参加者がお互いの企業のストックオプションを持ち合うという仕組みがある。協力の結果が、金銭面でも還元される仕組みになっており、ここでも“エコシステム”が体現されている。
 
FIのプログラムの最終的な修了要件は、実際に会社を立ち上げ、ビジネスをスタート させること。まさに、“ ローンチ(打ち上げ)” するためのプログラムとなっている。厳しいプログラムを完遂するのは参加者の約4割程度だが、その結果、立ち上がった企業の存続率は高い。「FIは会社を設立するノウハウを教える場所ではありません。“ 社会的に存在意義があり、永続性のあるビジネスを立ち上げるための道場 ” なのです」と、奥田さんは言う。
 
そして、FI発のスタートアップ企業のうち、約8割が現在も生き残っている。後編では、FIでも実践されている、“アイデアを生み出す思考術(アイディエーション)を中心に、実際のプログラム内容について詳しく紹介する。

 

 

ファウンダー・インスティテュート(Founder Institute)

シリアルアントレプレナーのアデオ・レッシ氏により、2009年にアメリカのシリコンバレーで設立された世界最大級のスタートアップアクセラレーター。シリコンバレーのグローバル化を目指し、世界60カ国110都市に支部を展開(2014年東京支部開設)。これまでに2,000社以上のスタートアップ起業の立ち上げと15,000人以上の雇用の創出をサポートしてきた。 【Founder Instituteについて詳しく知りたい方はこちらまで】 株式会社プライムスタイル 代表取締役奥田聡     Tel:03-6685-0022 email:info@primestyle.co.jp

文/笹原風花 撮影/石河正武