仕事のプロ

2016.05.13

イノベーションの源泉を探る 〈前編〉

“発想体質” を身につける「博報堂生活者アカデミー」

今年5月、(株)博報堂が社会人のための学びの場「博報堂生活者アカデミー」を創設する。社会課題を解決するイノベーションを生み出すべく、生活者としての “発想体質” を培うための学校だ。アカデミーでの学びやコンセプトについて、博報堂生活者アカデミー主宰の嶋本達嗣さんに伺った。




他者から “もらう” ことで
化学反応が起きる

生活者アカデミーでは、一人の人間として自問し、他者とつながる力が要求される。

「参加者には、会社や組織の枠を取り払い、一人の人間として自分は何が好きで何がやりたいのか、本当に望むものは何かを突き詰めて考えてもらいます。そして、異なる背景を持つ他の参加者と人と人としてつながり、対話をして、自分の持っていないものをたくさんもらってほしいと思います。そうすることで、世界が拡がり、新しい視点が増え、化学反応が起き、アイデアが生まれるのです」


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実際に嶋本さんは、『5DAYSキャンプ』でも『創発セッション』でも、主催者が参加者と共にプログラムを創出することや、参加者同士のつながりから新たなビジネスや取り組みが生まれそうな予感を、すでに感じているという。


「プログラムのプロデューサーを務める私たちも、参加者からいろんなヒントを “もらう” つもりでいますから」と笑みを浮かべる嶋本さん。 “人からもらう” というのは、嶋本さんがかつて上司から教わり、今でもモットーにしていることの一つだ。後編では、嶋本流・イノベーションを生み出す発想術について、詳しく紹介する。


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嶋本 達嗣 (Shimamoto Tatsushi)

(株)博報堂執行役員・博報堂生活者アカデミー主宰。1983年入社。マーケティング・プランナーとして、得意先企業の商品開発業務、店舗開発業務などを担当。1990年博報堂生活総合研究所へ出向。2000年博報堂研究開発局に異動し、グループマネジャーとして、創発型リサーチ技法、次世代型マーケティング手法の開発などに携わり、2006年博報堂生活総合研究所所長に就任。2015年より現職にて、イノベーションのための発想教育活動を統括している。

文/笹原 風花  撮影/曳野 若菜