ロジカルシンキング

2016.04.27

これさえ覚えれば誰でも論理的に話ができる!

ロジカルシンキング3:子どもも自然に使っている論理的な話し方

論理的な結論と理由のつなげ方は
2種類しかない

「ママ、ペット買ってよ!みんな何か飼ってるんだ。ヒロトくんはイヌ飼っているし、リサちゃんはネコ、シンちゃんなんてウサギ飼っているんだよ」子どもの頃に一度は言ったことがないでしょうか。
「今日10月31日だっけ。10月31日ってハロウィンだったよね。今日はハロウィンかあ、たくさんお菓子もらえるかなあ」。子どもは、このようなことも言うでしょう。

なにげなく言っている、この2つの言い方、実は論理的な2つの話し方、帰納法(きのうほう)と演繹法(えんえきほう)を使っているんです。今回はこの2つについてお話したいと思います。

まず1つ目の帰納法というのは、「結論」を導くための「事実」をいくつか理由として並べ、その共通点を見つけるやり方です。

「結論:みんなペットを飼っている」
 (なぜなら)
「理由1(事実):ヒロトくんはイヌを飼っている」
「理由2(事実):リサちゃんはネコを飼っている」
「理由3(事実):シンちゃんはウサギを飼っている」

本当はみんな飼っているわけではないんですよ(笑)。でもこれが帰納法と言われる論理的文章のつくり方なんです。ちなみに大人に置き換えるとこんな感じ。

「結論:今年の新人はマナーがなっていない」
 (なぜなら)
「理由1(事実):新人のAさんは挨拶をしない」
「理由2(事実):新人のBさんは敬語を使えない」
「理由3(事実):新人のCさんの服装はいつもだらしない」

帰納法のメリットは、複数の理由を併記するので、理由が1つ欠けても結論が成立することです。欠点は、結論があくまでも複数の事実から導き出した推測になってしまうので、正確に表現すると「〜ようだ(ペットを飼っているようだ、マナーがなっていないようだ)」という言い方になってしまうことです。

もう1つの演繹法は、起こった「事実」とそれが当てはまる「ルール(法則・常識)」を組み合わせて「結論」を導く方法です。

「理由1(事実):今日は10月31日だ」
「理由2(ルール):10月31日はハロウィンだ」
 (ゆえに)
「結論:今日はハロウィンだ」

演繹法は三段論法とも呼ばれ、「AはBだ」→「BはCだ」→「(よって)AはCだ」という流れになります。大人の例で言ってみると

「理由1(事実):新人Aさんは挨拶がきちんとできない」
「理由2(ルール):挨拶はマナーの基本だ」
 (ゆえに)
「結論:新人Aさんはマナーの基本ができていない」

演繹法は、帰納法と違い理由が1つ欠けると成立しません。ですが、起こった「事実」と「ルール」に間違いなければ、はっきりとした結論を導き出すことができます。

ちなみに、ビジネスでは、帰納法がオススメです。理由をルールに当てはめる演繹法は、どうしても理屈っぽく聞こえてしまうことが多いです。
帰納とか演繹と言われると、難しく感じるかもしれませんが、子どもも何かを伝えようとするときに自然に使っているわけです。論理的に伝えようとするときに、使える方法はこの2つしかありません。2つの使い分けを理解すれば、ビジネスでもしっかりとした話ができるようになりますので、ぜひ覚えて使ってみてください。

下地 寛也(Shimoji Kanya)


コクヨ㈱入社後、行動と環境(創造性、コミュニケーション、場のあり方等)に関する研究・分析を担当。2003年より、クライアントの企業変革のコンサルティングや研修コンテンツ企画を担当する。著書『コクヨの3ステップ会議術』(中経出版)、『コクヨの1分間プレゼンテーション』(中経出版)、『コクヨの5ステップ ロジカルシンキング』(中経出版)、『コクヨの「3秒で選び、2秒で決める」思考術』(中経出版)、『コクヨのコミュニケーション仕事術』(総合法令出版)



イラスト/フクイヒロシ