組織の力

2016.04.07

国内のグローバル化で変わるワークスタイル〈後編〉

グローバル人材サービスのパイオニア・パソナグループに学ぶ

今年6月フィリピン人スタッフを直接雇用したハウスキーピング事業を開始するパソナグループ。後編では、営業総本部ハウスキーピング事業の蒲生智会ユニット長(写真右)と山田良子(写真左)シニアリーダーに、海外企業との連携から得られた世界のビジネススタンダードに必要な視点やハードル、そしてこれからの展望について語っていただいた。

外国人社員の受け入れの
壁に挑み、道を切り開く

以前は海外へ出たいという思いが強かったという山田シニアリーダーだが、ハウスキーピング事業を担当していくなかで、次第に意識が変わってきた。

 

「新事業の立ち上げを経験したことで、日本における外国人の受け入れ環境の整備への関心が高まりました。ただ受け入れるのではなく、その後の生活面や精神面も含めて環境を整え、支えていくことが重要です。例えば、パソナのハウスキーピング事業においては、フィリピンからの受け入れ後、生活環境の整備、雇用管理、医療・健康管理などのセイフティネットでスタッフの就業と生活を支援します。また、地域で孤立しないようフィリピン人コミュニティや留学生協会とも連携して、母国とのコンタクトも支援します。今後は日本国内のグローバル化もどんどん進むことが予想されますが、社会的にも課題が多いのが現状です。継続的にこの分野に携わり、法制度など幅広い知識を学びながら、道を切り拓いていきたいと考えています」(山田シニアリーダー)。

 

 

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外国人ワーカーの受け入れ体制が十分に整わないなか、試行錯誤しながらも、まさに「道を切り拓いた」パソナグループ。また、日本の一部富裕層のみが利用するというイメージが根強い家事代行の一般利用層への拡大という日本文化の変革への道も切り拓こうとしている。

 

今回のフィリピン企業との連携やフィリピン人スタッフの受け入れ・雇用で得た経験とノウハウは、日本のホスピタリティ精神をもった外国人が、自国で海外駐在の日本人宅のハウスキーピングを担当する、また母国に進出する日系企業に勤めるなど、様々な可能性も秘めている。今後、グローバル社会の本格化により、国外だけでなく日本国内で外国人とともによりよく働く環境整備の重要性がより高まるのではないだろうか。

 

 

 

文/笹原風花 撮影/ヤマグチイッキ