リサーチ

2018.10.31

情報と報酬がキモ?! 学び直しのススメ

進まぬ学び直しにはタイプ別対策を!

働き方改革への取り組みが進む中、「社会人の学び直し」という言葉を耳にする機会も増えてきた。にもかかわらず、第一生命経済研究所が社会人を対象に行った調査によると、現在学び直しをしている、過去に経験していると答えた人は約25%にとどまるという結果が出た。では残りの75%の人々の胸の内はどうなのだろう。学び直しをしていない人たちの考えを読み解くと、実施のために必要なものが見えてくる。

学び直しをしていない人たちは、「将来的には学び直しをしようと思っている人」「学び直しをおこなうつもりがない人」に分けられる。彼らの考え方に大きな違いが表れたのは「学び直しをしていない理由」だ。学び直しに興味のある人は「時間がない」「費用がない」「どこで教育を受けたらいいかわからない」など、いずれも条件が整えば解決可能な悩みであり、企業や周囲のサポートがあれば学び直しの実施が可能となることを示唆している。
 
4_res_071_01.jpg
 
一方、そもそも興味がない人は「自分には関係ない」が1位。時間と費用も理由に挙がっているが、学び直しを自分ごとと捉えていない意識が浮かび上がった。
 
4_res_071_02.jpg
 
変化し続ける社会で長く働き続けるためには、学び直しによって新たな知識や技術を吸収し、自己のパフォーマンスを維持することが重要になってきているが、学び直しを促進するために企業側ができることはないのだろうか。
学び直しをしていない人に勤務先に期待することを尋ねると、ここでも両者の意識の違いが明確に表れた。「将来的には学び直しをしようと思っている人(学び直し経験者含む)」は「情報提供」、行うつもりのない人は「昇進や昇給など処遇に反映してほしい」が1位となった。
 
4_res_071_03.jpg
 
日本の企業が厳しい国際競争の中で生き抜くには人材能力を高め、労働生産性を向上させることが求められている。学び直しの取り組みを促進するには、「長く働き続ける、ないし生産性を高めるためには学び直しが必要である」という認識を、働き手と企業の双方が持たなければならない。そのためには企業から社員に求めるキャリアやそのために必要な職業能力を示し、学び直しの必要性を伝えることが重要だ。これは企業に情報提供を求める「将来的には学び直しをしようと思っている人」に有効なアプローチになりうる。他方、学び直しに消極的な人々については、学んだ成果を昇進や昇給など処遇に反映させることがインセンティブになるということも考慮し、具体的なメリットを提示することも一つの方法かもしれない。
 
 
(出典)第一生命経済研究所 長く働き続けるための「学び直し」の実態と意識

 

作成/MANA-Biz編集部