アンガーマネジメント

2018.10.03

怒ることで得られるメリットは大きい

アンガーマネジメント3:怒りによって重要度が伝わる

怒りは人間にとって
不可欠の感情

 自分のことを怒りっぽいと感じている人は、「どうしてすぐ感情的になってしまうんだろう? いつも穏やかな気持ちでいられればいいのに」と思っているかもしれません。
 しかし、怒りは人間にとって必要不可欠の感情です。私はビジネスパーソン向けの研修でも毎回、「怒っていいんですよ」と強調しています。今回は、怒りをいかすための基礎知識として、怒ることで得られるメリットについてご説明していきましょう。
 
 

適切に怒ることで
真剣さや重要度が伝わる

 ほ乳類などの動物は、自分の身に危険が及んだとき、防衛本能が怒りとなって現れます。人間も動物と同じで、何か大切なものが侵害されそうな場面で怒りを感じます。
 つまり私たちは、怒ることによって「自分にとって何が大切か」「何を守りたいか」に気づくわけです。職場の部下などを怒るときも同じです。適切な叱り方をすれば、あなたの真剣な気持ちや、その案件の重要度を相手に伝えることができます。
 
 

怒りをプラスのエネルギーに
変えることで前進できる

 怒りの感情は、人が前進するためのエンジンにもなります。学生時代に、勉強や部活において「悔しさをバネに努力したら、予想外の結果を残すことができた」という経験をもつ人は多いでしょう。
 
 もちろん社会人になってからも、怒りをモチベーションに変えて努力してきた人は少なくないはずです。仕事では、モヤモヤしたりイラッときたりする場面はいくらでもあります。わき上がってくるその怒りを「きっと見返してやる」という前向きなエネルギーに転換できれば、あなたは大きく成長できるはずです。
 
 

怒らないことによる
デメリットもある

 逆に、怒りを抑え込んでいるとどうなるでしょうか。実はため込んだ怒りは、自分に向かうことになります。「あのときああ言ってやればよかった」といった後悔は自分を苦しめ続け、メンタルヘルスに支障をきたす原因にもなり得るのです。
 
 また、怒りを感じなくなることも、実は危険なことです。かつてイギリスで、手術によって脳の一部分が切除され、怒りの感情をなくしてしまったイギリス人女性がいました。その女性は、危険なものに対する防衛感情をなくしてしまい、自動車が迫ってきてもよけなかったり、窓から外に飛び降りたりするようになったそうです。
 
 和を大切にする日本人は、怒りに関して負の感情を抱きがちです。しかし、ここまで見てきたように、怒りには少なからぬメリットがあり、また怒らないことがよいわけでもありません。せっかく怒るなら、自分の感情を適切に伝えたり、自分を成長させるための糧にしたりして、「プラスになる怒り方」(※第4回予定)をしていきましょう。
 

安藤俊介(Ando Shunsuke)

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。アメリカでアンガーマネジメントを学び日本に導入した、アンガーマネジメントの第一人者。企業や官公庁、医療機関などでの講演・研修を通してアンガーマネジメントの普及に努める。『イライラしなくなるちょっとした習慣』(大和書房)、『はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。著作は中国、台湾、韓国などでも翻訳され、累計30万部を超える。

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