アンガーマネジメント

2018.09.06

衝動的な怒りはその場でコントロールできる

アンガーマネジメント1:ムカッとき来たら6つ数えてみる

まずは突発的な怒りに
対処できるスキルを習得

毎日の生活では、腹の立つできごとがまったく起こらないことはあり得ません。しかし、特にビジネスシーンでは、そのたびに怒りを相手他人にぶつけていては仕事に支障をきたします。場合によっては、部下からパワハラを訴えられたりして、あなたの社会的立場が脅かされることもあるでしょう。
そこで、「怒りっぽい自分に悩んでいる」というビジネスパーソンの方に向けて、まずは衝動的な怒りをコントロールする方法をご紹介します。ちょっとしたことで怒らないマインドを身につけるていくことも大切ですが、突発的な怒りに対処するスキルを使いこなすだけでも、あなたのメンタルはだいぶ安定するはずです。
 
 

6秒のインターバルで
理性を介入させる

日本アンガーマネジメント協会では、怒りのタイプに応じたさまざまな手法を開発してきました。その中で衝動的な怒りをその場でコントロールする方法として研修などでおすすめしているのは、「怒りが爆発しそうになったら6秒つ数える」という方法です。
 
なぜ6秒なのでしょうか。それは脳の仕組みと関連があります。怒りは脳幹(頭の中心部)にある扁桃体という部分で起きるのですが、その感情が前頭葉(理性をつかさどる部分)に伝わるまでに少し時間がかかるといわれているのです。私たちが数年かけて調査したところ、このタイムラグが6秒ほどであることがわかってきました。6秒待てば怒りの感情に、のピークは過ぎ、脳が冷静な感情が生まれてくるさを取り戻せるというわけです。
 
ですから、怒りを相手にぶつけたくなったときは、すぐには言葉に出さず、心の中で6秒つ数えてみましょう。深呼吸をしたり、頭の中に真っ白な紙を思い浮かべるなどの方法でも構いません。「会話の最中に6秒も待てない」という人もいますが、衝動的な言動に走りやすいタイミングだからこそ、いったん立ち止まることが必要ではないでしょうかなのです。
 
 

「怒りの温度」を測ることで
少し冷静になれる

3_ang_001_01.pngのサムネイル画像
 
衝動的な怒りをそらすには、「怒りの温度測定」もおすすめです。イラッときたりムカムカしたりするたびに、「この怒りは、10点中満点で何点かな?」と考えて点数をつける方法です。「今感じている怒りがどれくらい熱いか」を、心の中にある温度計を使って測るイメージです。
 
温度を測る最大のメリットは、自分の感情を客観視できるようになることです。怒りを感じるたびに点数をつけることで、「上司の今の言葉には結構イラッとしたけど、この前感じた怒りよりは明らかに軽いから2点かな」と、感情に振り回されずに理性的に考えられるようになります。また、「温度を測る」という作業をはさむことは、脳のクールダウンにも役立ちます。
 
爆発的な怒りは、長時間続くものではありません。少しインターバルを置くことで、怒りを感じる理由や今後の言動出方を冷静に考えられるようになるはずです。
 

 

 

安藤俊介(Ando Shunsuke)

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。アメリカでアンガーマネジメントを学び日本に導入した、アンガーマネジメントの第一人者。企業や官公庁、医療機関などでの講演・研修を通してアンガーマネジメントの普及に努める。『イライラしなくなるちょっとした習慣』(大和書房)、『はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。著作は中国、台湾、韓国などでも翻訳され、累計30万部を超える。

イラスト/吉泉ゆう子