組織の力

2018.07.23

フリーランス活用で企業が進化する時代へ〈前編〉

広がる“フリーランス”という働き方

日本人の働き方や働くことに対する意識は、今、大きく変わりつつある。かつての主流だった“フルタイム正社員・終身雇用志向”にとらわれない多様な働き方、生き方を自ら選択する人も増えている。その一つが、専門的な知識やスキルを活かし、特定の企業や組織に属さずに働く“フリーランス”だ。そして、近年はこのフリーランス人材を積極的に活用する企業も徐々に増えてきている。そこで今回は、フリーランスと企業とのあり方について、株式会社Warisワークアゲイン事業統括/Waris Innovation Hubプロデューサーの小崎亜依子氏に伺った。

ビジネス構造とワーカーの意識の変化、
さらに人材不足で、フリーランスが増加

クラウドソーシングを手がけるランサーズ株式会社の調査によると、2018年2月時点で、日本における広義のフリーランスは1,119万人に上ると推定される。これは、全労働力人口の約17%にあたる。さらに、2015年からの4年間で、その経済規模の成長率は41%、人口の成長率は22.6%となっている(「ランサーズ・フリーランス実態調査2018年版」より)。また、日本だけでなくアメリカやヨーロッパなどでもフリーランス人口は増加しており、アメリカでは5,370万人、全労働力人口の35%がフリーランスであるという調査結果もある(「Freelancing in America」より)。
 
フリーランスが増えている背景について、小崎氏はこう語る。
「ビジネス構造の変化とワーカーの意識の変化の両面があると言えるでしょう。ビジネス構造については、昨今のシェアリングエコノミーの広がりにより、自分の空いた時間やスキルを活かしてお金を稼ぐ、ということができるようになりました。例えば、一般のドライバーがタクシードライバーを務めるUber、主婦が家事のスキルを活かしてハウスキーパーを務めるタスカジなど、国内外でマッチングサービスが続々と生まれています」
 
「また、ワーカーの意識の変化については、30代前半くらいの若い世代を中心に、キャリアを自分で設計して好きな場所で好きな仕事をしたい、オーナーシップを持って働き方や生き方を選択したい、という人が増えてきています。こういった背景があり、フリーランス人口が増え、その市場も拡大していると考えられます」
 
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さらに、とくに国内においては、企業が抱えるある課題を解決するためにもフリーランスの存在がカギになってきていると、小崎氏は言う。
 
「中小企業を中心に、人材不足が深刻な問題になっています。今や有効求人倍率はバブル期以上に高くなり、優秀な人材を雇用することが難しくなってきているのです。従来、企業は高度な知識や経験を要する業務は正社員が行ってきましたが、それが困難になるこれからは、高度な知識や経験を要する業務を正社員以外の人、フリーランスにも依頼していく必要があります。日本企業の多くは業務切り分けがあまり得意ではありませんが、高度なスキルを持つフリーランスであれば、業務切り出しから依頼することが可能なのです」
 
 
 

自ら働き方を選択し、自律的に働く
フリーランスは、現状への満足度が高い

こうした要因があり増加しているフリーランスだが、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が行った調査からは、フリーランスの現状に対する満足度の高さも明らかになっている。
 
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出典:「フリーランス白書2018」より

 
就業環境、仕事上の人間関係、達成感・充実感、スキル・知識・経験の向上、プライベートとの両立、社会的地位、収入、人脈形成など9項目について尋ねたところ、すべての項目で会社員よりもフリーランスの方が満足度が高くなっている。同協会は「フリーランスは自ら働き方を選択し、納得したうえで自律的に働いている人が多いためと推察される」とコメントしており、小崎氏もこれに同意する。
 
Warisでは、人事やマーケティング、広報など総合職系のフリーランスと企業とのマッチングを行っている。登録者数は2014年8月末時点では500名弱だったが、2018年4月末時点では約5,500名まで増えた。企業や組織で経験を積んできた女性が中心だが、最近は男性の登録者も増えてきているという。
 
「弊社の登録者へのアンケートでも、仕事とプライベートのバランスを取るため、やりたいことを実現するため、自分の成長のためにフリーランスという働き方を選んだ、という人が多くなっています。逆に言うと、会社員時代はこれらに満足ができなかった、ということでもあるでしょう。とくに女性は、出産や育児などでワークライフバランスを取りたいと考えて時短勤務を選択すると、やりたい仕事ができない、やりがいのある仕事を任せてもらえない、第一線から外されて“マミートラック”に乗せられてしまう…といった状況に追い込まれがちです。キャリアをあきらめるか仕事最優先でバリバリ働くかの二択を迫られたときに、フリーランスという選択が有効になってくるのです」
 
 

小崎 亜依子(Kozaki Aiko)

株式会社Waris ワークアゲイン事業統括/Waris Innovation Hubプロデューサー。明治大学「女性のためのスマートキャリアプログラム」講師。日本テレワーク学会会員。北九州市未就業女性の活躍戦略策定事業アドバイザー(2017年) 。1996年慶應義塾大学総合政策学部卒業、2002年ピッツバーグ大学公共政策国際関係大学院修了 (公共政策マネジメント修士)。野村アセットマネジメント株式会社を経て、留学・出産育児で 5 年のキャリアブランク後、NPOのアルバイトで復職。2007年より株式会社日本総合研究所で「なでしこ銘柄」における企業分析などを担当した後、2015 年(株)Warisに参画。自身の経験を活かし、キャリアブランクのある女性の再就職支援「Warisワークアゲイン事業」を手がけるとともに、プロフェッショナル女性を対象としたプロジェクト型ワークの創出や多様化推進のためのコンサルティングを行う。著書に『女性が管理職になったら読む本』(翻訳・構成を担当)、『スチュワードシップとコーポレートガバナンス―2つのコードが変える日本の企業・経済・社会』(共著)、などがある。

文/笹原風花 撮影/荒川潤
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