レポート

2018.03.19

会議の生産性を高めて、働き方改革!

会社の会議ですぐに使える実践テクニック

働き方改革が声高に叫ばれる今、具体的に何をどうすればいいのかわからず困惑するワーカーも少なくないだろう。働き方を変革するためには、「しくみ(型)」、「環境(場)」、「人の力(技)」の3つの分野を整えることが不可欠。今回は、「人の力(技)」の一つにあたる会議に着目し、会議の生産性を高めて働き方を変えるためにはどうすればいいのか、会社ですぐに使える実践テクニックを紹介しよう。
※本記事は、「KOKUYO 2018 WORKSTYLE FAIR」(2017年11月開催)におけるショートセミナー「会議の生産性を高めて働き方を変える! 現場ですぐに使える実践テクニック」(講師:コクヨワークスタイルコンサルタント 成田麻里子さん)の内容をまとめたものです。

会議の基本の進め方は、
「準備→議題確認→〔発散→収束〕→まとめ」

まずは、会議における生産性とは何かについて、考えていきましょう。生産性が悪い会議というのはどのような会議なのかをワーカーの方々に尋ねると、次のような問題点がよく挙がります。

・誰が来るのか不明
・決定する人が来ない
・事前の情報がない

・目的や議題が曖昧
・役割が不明
・進め方が見えない

・意見が出ない
・意見が散漫、ズレる
・同じ話がくり返される
・否定的意見が多い

・優先順位をつけられない
・まとまらない
・声の大きい人が勝つ
・当事者意識がない

・結論が出ない
・次の行動が見えない
・時間に終わらない

5つのグルーピングは何を意味するのでしょう?これは「会議の進め方」のそれぞれの段階でよく起こる問題点です。まず、1つ目のグループは会議の「準備」に関する問題点です。2つ目は「議題確認」、3つ目は「発散」、4つ目は「収束」、そして5つ目は「まとめ」のなかで起こることです。このように会議には基本の進め方があり、「準備→議題確認→〔発散→収束〕→まとめ」となります。この進め方は会議の種類やテーマが違っても応用できますので、確実に覚えておきましょう。

この中でポイントになるのが、「発散」と「収束」です。発散は、いろんな意見やアイデアを拡げていくこと。ブレスト(ブレイン・ストーミング)などはこれにあたります。一方、収束は、出た意見を取捨選択して絞りこんでいくことです。この「発散」と「収束」を分けて考えることが重要ですが、多くの会議でこれらが同時に起こっているのが現実です。

誰かが意見を言うと、それに対してすぐに否定的な意見を言う人がいるのです。否定された人は次に発言しづらくなり、結果的にシーンとした会議になってしまいます。議論もなかなか進みません。発散と収束を分けて考えないのが、多くの企業でみられる会議の課題と言えます。

まずはアイデアを一通り出しつくしてから、アイデアの絞り込みに切り替えると会議はずっとスムーズに進みます。なお、「発散→収束」はテーマ(議題)ごとに行います。例えば、ある会議で3つの議題について話し合うのであれば、「準備→議題確認→〔発散→収束〕→〔発散→収束〕→〔発散→収束〕→まとめ」となります。

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会議の種類は大きく2つ!
「創造的会議」と「定型的会議」

続いて、会議の目的について考えていきましょう。普段の会議で「目的」が何か、意識しているでしょうか? 実は、会議の目的により生産性の上げ方は異なります。会議は、大きくは「創造的会議」と「定型的会議」の2種類に分けられます。「創造的会議」とは、新規商品やサービスについてのアイデア出し会議や、クレームや不具合、残業削減などについての問題解決会議のことを指します。これらの会議に求められるのは、「品質向上」です。

一方、「定型的会議」とは、連絡・報告会議、調整・交渉会議、意思決定会議など、主に情報共有や調整ための会議です。そして、こうした会議に求められるのは、「効率化」です。1つの会議の中に「創造」と「定型」の両方が含まれることも多いでしょう。重要なのは、「定型的会議」の効率化により浮いた時間を「創造的会議」にあてること。こうすることで、よりクリエイティブな業務に時間と労力をかけられるのです。


成田 麻里子(Narita Mariko)

コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部/ワークスタイルイノベーション部/ワークスタイルコンサルタント
コクヨ入社後、10年間にわたりオフィスデザインやワークスタイル研究、新規事業企画に携わる。現在は企業向けサービス[コクヨの研修]スキルパークにおいて、人材育成、働き方改革に関わる研修企画および講師を担当。

文/笹原風花 撮影/MANA-Biz編集部