プレゼンテーション

2017.09.20

相手の決断を促す一言「お手軽・簡単・安心」

プレゼンテーション9:相手を動かすために背中を押すコメントを

頭で理解し、心が動き、
背中を押される

プレゼンを聞いていると、「~です。時間になりましたので以上で説明を終わります」言って話を終える人がいます。話はわかりやすいし内容も悪くない。しかし、聴き手としては、あと一歩背中を押してほしいと思うもの。「提案の内容は理解した。相手の思いも伝わって心も動きかけている。しかし、本当に決めても大丈夫だろうか? 無理に今決断しなくていいのではないか・・・」このように聴き手は思うものです。
 
そこで、プレゼンに盛り込んでほしいことが「お手軽・簡単・安心」というメッセージです。
 
例えば、「仕事につながる精神力を養うにはマラソンが効果的です」と言われても、たいていの人は「マラソンが良いのはわかるが面倒くさい」「今は暑くて嫌だな」などと思うものです。
 
そうしたときに、「マラソンを始めるなら、日が沈んだ夕方から夜にかけて、まずは一日30分ほど、ゆっくりしたペースではじめるといいですよ。毎日走るのは厳しいので例えば週に3度は走ろうという形でペースを決めて取り組めば長続きしやすいはずです」
「ランニングシューズは高いものから安いものまでいろいろありますが、初心者であれば○×社の7000円くらいの靴がお勧めです。リーズナブルな割にはグリップ力があり走りやすいのでこれで十分です」
 
などと具体的に言ってもらえると、それなら始めてみようかな、と背中を押されるものです。
 
テレビの通販番組を思い出してみてください。プレゼンターは一通り商品の説明をしたあと、
 
・「いまなら下取りありでさらに1万円引き!」
・「金利手数料は当社負担!」
・「いまから30分以内にご注文いただくと~」
 
などと畳みかけるように言いますよね。これは、その商品を買おうかどうしようかと迷っている視聴者の背中を押し、決断に導くために言っているのです。
 
人間は、新しいことを始めるときはたいてい、「面倒くさい」「また今度でもいいかな」と思うもの。ですから、「面倒じゃなくて簡単ですよ」「今、決める方が良いですよ」と伝える要素を必ずシナリオに入れておくことが肝要です。
 
 

“おすすめ”を必ず伝えよう

また、決断するときに選択肢が多いと、決めるハードルがさらに上がります。提案の中に選択肢がいくつかある場合は、必ず自分のおすすめを伝えるようにしましょう。
 
私の経験でこんなことがありました。以前、マラソンを始めようと思い立ち、スポーツ用品店にランニングシューズを買いに行きました。ところが、シューズの種類が星の数ほどもあり、しばらく棚を眺めた挙句、「また来よう」と何も買わずに店を出てしまったのです。
 
このとき、「初心者にはこれがおすすめ!」という目立つポップでもあれば、その靴を買ったかもしれません。とにかく、知識のない初心者は選べないのです。
 
プレゼンでも、相手が決断しやすくなるように導いてあげることが大切です。おすすめを聞かれたら「全部おすすめです」「ケースバイケースですね」などと言うのではなく、「初めて選ぶなら、○○タイプがおすすめです」と具体的に提案するようにしましょう。それだけで、聴き手としては決断の背中を押されるものです。
 

下地 寛也(Shimoji Kanya)

コクヨ㈱入社後、行動と環境(創造性、コミュニケーション、場のあり方等)に関する研究・分析を担当。2003年より、クライアントの企業変革のコンサルティングや研修コンテンツ企画を担当する。著書『コクヨの3ステップ会議術』(中経出版)、『コクヨの1分間プレゼンテーション』(中経出版)、『コクヨの5ステップ ロジカルシンキング』(中経出版)、『コクヨの「3秒で選び、2秒で決める」思考術』(中経出版)、『コクヨのコミュニケーション仕事術』(総合法令出版)

イラスト/海老佐和子
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