リーダーのためのマナー

2017.07.26

マナーを教えるときのリーダーは理不尽であっていい

リーダーのためのビジネスマナー13:マナーを最優先で教える

リーダーがマナーを教えても
部下が理解できるとは限らない

リーダーの最大の役割は、部下を育てることです。育てるときに、真っ先に教えるべきは仕事の技術ではなくマナーです。なぜなら以前にも述べたように、マナーがない人は嫌われるからです。いくら技術を教えても、周りから嫌われては部下は力を発揮できません。
 
とはいえ、マナーを部下に教えるのは簡単ではありません。マナーには「なぜそうなのか」を説明できないものが多いからです。たとえ説明したとしても、部下というポジションにいては理解できない場合も多いのです。自分が理解できないのに「こうした方がいい」と言われると、部下は「リーダーは自分の嗜好を押しつけているだけだ」と感じる可能性もあります。
 
例えば私は、新卒で博報堂に入社した頃、上司に電話の受け方を注意されました。「はい、博報堂です」ではなく、「博報堂でございます」と言うように指示されたのです。上司は理由を説明せず、「理由はいずれわかる」とのひと言でした。僕はそのアドバイスをくれた上司を尊敬していたので、わからないながらも電話の取り方を変えました。
 
 

伝えることは大切だが
マナーを強要してはいけない

上司の意図がわかったのは、電話の取り方を改めてしばらく経ってからでした。クレームの電話がかかってきたときに、「博報堂でございます」と言って取ることで、お客さまの怒りが和らいだのです。このようなことは一度ならず起こりました。そこで感じたのは、「いずれわかる」という言葉の重さです。時間を経過しなければわからないこともあるんだな、と実感したのを覚えています。
 
リーダーのあなたが部下にマナーを教えるとき、必ずしも理由を説明する必要はありません。あなたが「これは部下にとって必要なことだ」と感じたら、理路整然とでなくてもいいので伝えましょう。嫌われることを恐れてはいけません。
 
ただし、マナーに関するあなたのアドバイスを受け入れるかどうかは部下の自由だということも忘れてはいけません。自分の価値観を他人に強要することはできないからです。それでも、あなたが信頼できるリーダーなら、部下は「なぜリーダーはそう言うのだろう?」と考え、必死になって理解しようとするはずです。
 

中谷 彰宏(Nakatani Akihiro)

早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂でCMプランナーとして活躍ののち、91年に独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス・恋愛・教育・自己啓発など多彩なテーマで執筆活動を行い、多くのベストセラー・ロングセラーを出版。また、「中谷塾」を主宰し、一流のリーダーをめざすビジネスマンに向けて全国でワークショップや講演会を行っている。『なぜあのリーダーに人はついていくのか』(ダイヤモンド社)、『部下をイキイキさせるリーダーの技術』(リベラル社)など著書は1000冊を超える。 【中谷彰宏公式サイト

イラスト/吉泉ゆう子 写真/為広麻里
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