リサーチ

2017.05.19

現代社会の「副業」に対する意識

不安定な時代を迎え、企業も社員の副業を推奨する傾向に?

収入、あるいは新たなノウハウ習得のため、副業の必要があると感じている会社員は多いだろう。実際、約23%の企業は社員の兼業、副業を容認、推進している。例えば、ロート製薬株式会社(大阪府)は2016年2月から、土日・終業後などの勤務時間外での社員の副業を認めるシステムを導入した。またサイボウズ株式会社(東京都)は「複(副)業者を募集」として、同社を副業先にする人材を積極的に採用している。副業を推進する企業は今後ますます増えていく可能性がある。

「リクルートキャリア」が出資する、独立・開業サポートサービス「アントレ」の調査によれば、 社員の兼業・副業について、容認・推進している企業の合計は22.9%。
 
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兼業・副業の容認・推進理由は「特に禁止する理由がない」が最多となっている。
 
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兼業・副業の条件明示については「明示されていない」が最も高く8割を超えたが、社員が兼業・副業を行う際に会社から要求する条件は「本業に支障が出ない」がトップとなった。
 
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兼業・副業を禁止している企業に理由を尋ねたところ、「社員の長時間労働・過重労働を助長する」が半数以上と最も高く、次いで「情報漏洩のリスク」が24.4%で2位であった。
 
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業種別に見ると、「金融・保険業、不動産業」では、他の業種に比べて「社員の過重労働の助長よりも情報漏洩のリスクを重く見ていることもわかる。将来的に兼業・副業を認めることについて、「現在検討中」と答えた企業は1%未満、「検討したい」は3.5%、 「検討していない」は8割近くであった。
 
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現代社会では、常識だと思われていた終身雇用制の崩壊、また年金受給年齢引き上げ問題などに見られる社会保障の不安定さがあらわになってきた。そうした背景があってか、総務省統計によれば、現在就業していてさらに副業を希望する人の割合は1987年~2012年の間で右肩上がりに増加している。
 
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また男女別の統計では、同期間で副業を希望する女性の割合が、1997年以降男性を追い抜いているのも興味深い。ここからは、副業への柔軟な姿勢だけでなく、男女間の給料格差といった問題も見えてくる。
世界的ベストセラー『ワーク・シフト』の著者であり、人材論・組織論の世界的権威であるリンダ・グラットン教授は、長寿社会は「80代まで働く社会」になっていくだろうと提唱している。もはやこれまでの働き方は通用しなくなるのだ。長く働き続けることが必須になっていく社会で、収入を確実に得ていくために、一つの会社に頼りきりにならず、副業・兼業をすることが有効な選択肢になってくるかもしれない。そうした働き方が可能か企業に打診する、または可能な企業に転職するなど、今後の人生設計を一人一人が考えていく必要があるだろう。
 
 
(出典)「兼業・副業に対する企業の意識調査」(株式会社リクルートキャリア)、「第1回兼業・副業を通じた 創業・新事業創出に関する研究会 説明資料」(経済産業省)をもとに作成。
作成/コクヨ ワークスタイル研究所
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