リーダーのためのマナー

2017.05.17

「冷静にじっくり」の叱り方では部下の心に刺さらない

リーダーのためのビジネスマナー11:叱り方は「短く×複数回」

叱るべきことはその都度
短く叱るのが基本

部下がいると、叱るべき場面は必ず出てきます。リーダーであるあなたは、どんなタイミングで部下を叱っていますか? いくつか叱るべきことをストックしておき、まとめて言いますか? それとも、何かあるごとに叱りますか?
 
一流のリーダーがするべきは、短く、ひんぱんに叱ることです。「1回につき15秒」ぐらいの短さで、ひんぱんに言うのがベストです。人間には、短く、複数回インプットされたものを記憶する習性があるからです。
逆に、まとめて叱るのはデメリットだらけです。言いたいことをためるうちにリーダーの心にはストレスがたまり、いざ機会を得ると「だいたい君はいつも……」と、過去をほじくり返してネチネチ叱ることになります。
 
 

15秒間だけ感情を
爆発させて本気でぶつかる

たくさんのことをまとめて伝えても、すべてが部下に響くわけではありません。記憶に残るのは最初のトピックぐらいで、後に残るのは「しつこく叱られた」というネガティブな印象だけです。さらに、普段は叱らないリーダーに対して、「また叱るネタを探しているのかな」という不信感を部下に植えつけてしまいます。
 
叱る際には「感情を出してはいけない」とよく言われます。怒っていいのです。怒るのは、部下に対しても、仕事に対しても、本気でぶつかっている証拠だからです。熱意のあるリーダーに、部下はついていくものです。15秒間だけ感情をぶつけて怒り、あとは忘れて笑顔に戻りましょう。
 

中谷 彰宏(Nakatani Akihiro)

早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂でCMプランナーとして活躍ののち、91年に独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス・恋愛・教育・自己啓発など多彩なテーマで執筆活動を行い、多くのベストセラー・ロングセラーを出版。また、「中谷塾」を主宰し、一流のリーダーをめざすビジネスマンに向けて全国でワークショップや講演会を行っている。『なぜあのリーダーに人はついていくのか』(ダイヤモンド社)、『部下をイキイキさせるリーダーの技術』(リベラル社)など著書は1000冊を超える。 【中谷彰宏公式サイト

イラスト/吉泉ゆう子 写真/為広麻里