リサーチ

2017.01.20

「早く帰れる」会社になる!

「帰りたいのに帰れない」環境が長時間労働の原因

近年、「残業ゼロ」改革などに乗り出す企業は増えているが、それでも日本では一般的に「長時間労働」が常態化している。長時間労働は社員の健康面やメンタル面で悪影響を及ぼす危険もあり、その結果「長時間労働ゆえに生産性が下がる」という皮肉な結果に至る可能性があるにもかかわらず、この長時間労働がなかなか是正されないのは、何が問題なのだろうか。

2016年8月、公益財団法人日本生産性本部は、従業員30人以上の組織に勤務する20~60代の2000名を対象にした「ライフスタイルと働き方に関する実態調査」を発表した。この中で、現在の労働時間への満足度をたずねたところ、「満足している」(35.4%)と回答した割合が一番高く、一応は各社の「長時間労働に対する取り組み」の一定の成果の表れともとれる。しかし一方で、「長すぎる」という意見も同じくらい多い。

「満足している」と「長すぎる」の割合の差を年代別にみると、20代の差が最も多く、長時間労働に不満を抱いている。ただ、30代、40代と年代が上がるにつれその差は少なくなり、50代からは「満足している」のほうが上回る。とはいえ、全体で見ればやはり30%以上が、「長い」と感じているのが現実だ。
 
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では、そのような「労働時間が長い」と意識している人たちは、勤務時間内に仕事を終えるためにどのような工夫をしているのだろうか。その回答では、「仕事の進め方のムダ取りを行うなど業務の見直しを行う」(31.8%)が最も多く、次いで、「業務量が多い時には、職場の中で協力を得る」(20.9%)、「自分で定時退社日を設定して実行する」(15.2%)となっている。だが一方で、「特に行っていない」が40.7%で一番高い。
 
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「労働時間が長い」と感じながらも、対策をしない人が多いのはなぜか。そこには個人ではどうにもならない「社風」や「職場風土」の問題があるようだ。
 
「長時間労働とならない職場の雰囲気」に関して聞いたところ、一番多かったのが「上司や同僚が仕事をしている中でも先に帰ることができる」(43.0%)という答え。その次に、「年次有給休暇の取得は、周囲へ遠慮することなく行うことができる」(28.3%)が多い。
 
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いかにも“日本的”ではあるが、確かに周囲が必死に仕事をしている中、よほどの理由もないのに自分だけ「お疲れさまでした!」と早く帰るのは勇気がいる。職場に人が少なければなおさらだ。有給休暇も、職場内で誰も取ろうとしない場合、自分だけが取るのは気を遣う。そのようなストレスを感じるよりは、非効率的でも机に向かって仕事をしているほうが楽なのだ。
このような職場風土を変えるには、やはりトップが率先して取り組む必要があるだろう。定時にキッチリ仕事を終える姿を継続して見せ、「早く帰ることは良いことである」という雰囲気を職場に定着させること。そのうえで、部下の仕事状況を見ながら、各社員が効率良く仕事を進められるようマネジメントしていけばいい。さらに、単純な労働時間の長さではなく、「効率・生産性」を評価していくことも大切だ。それらが「長時間労働」を是正していくカギとなるだろう。
 
 
(出典)公益財団法人日本生産性本部/ワークライフバランス推進会議「「ライフスタイルと働き方に関する実態調査」結果概要」をもとに作成
作成/コクヨ ワークスタイル研究所
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