リーダーのためのマナー

2016.08.09

リーダーになったら新人研修で習ったマナーはひとまず忘れよう

リーダーのためのビジネスマナー1:部下が憧れる存在を目指す

リーダーのマナーは
「部下の手本」という視点が決め手

マナーとは本来、人に嫌われないための方法です。顧客や取引先に嫌われない方法を身につけることは、会社の増益につながります。増益が続けば、今後の社会での生存が約束されます。ですからあらゆる会社員は、マナーを身につける必要があるのです。
「マナー」という言葉を聞くと、新人研修で習ったお辞儀の角度や名刺交換の仕方を思い浮かべる人もいるかもしれません。確かに、ビジネスシーンでの細かい所作も、「嫌われない」ための最低限のルールとして重要です。相手に不快感を与えてしまうと、その後のビジネスチャンスは断たれてしまいます。
 
一方、リーダーのマナーは、プレイヤーに求められるものとは違います。なぜならそこに、「部下の手本となる」という視点が加わるからです。新人時代に教わったマナーはいったん忘れて、リーダーならではのマナーを身につける必要があるのです。
 
 
 

リーダーである自分を意識すれば
すべての行動が変わる

例えば取引先を訪問した際、雑談や世間話で和やかな雰囲気をつくろうとするリーダーがいます。しかしその行動は、相手の時間を奪っているのも同然です。一流のリーダーなら、多少そっけないと感じても、すぐ用件に入るのが相手へのリスペクトです。部下はきっと「マナーをわきまえない人だ」とは考えません。むしろ、「あんなふうに明確な行動ができるようになりたい」と感じるでしょう。
 
「部下の手本になる」という観点をもてば、立ち方や座り方、話し方、服や小物の選び方、部下への言葉かけ、自分の上司との接し方、健康管理など、すべての行動が変わってきます。すると部下は、「自分もこんなふうになりたい」と憧れ、リーダーを真似て自分を変えようとします。その部下を見て、さらに若い部下が育っていきます。
 
部下に憧れられる一流のリーダーになることが、リーダーに求められるマナーなのです。

中谷 彰宏(Nakatani Akihiro)

早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂でCMプランナーとして活躍ののち、91年に独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス・恋愛・教育・自己啓発など多彩なテーマで執筆活動を行い、多くのベストセラー・ロングセラーを出版。また、「中谷塾」を主宰し、一流のリーダーをめざすビジネスマンに向けて全国でワークショップや講演会を行っている。『なぜあのリーダーに人はついていくのか』(ダイヤモンド社)、『部下をイキイキさせるリーダーの技術』(リベラル社)など著書は1000冊を超える。 【中谷彰宏公式サイト

イラスト/吉泉ゆう子 写真/為広麻里