チェックワード

2016.07.14

「タッチの差」はマイナスの文脈でのみ使用

本日のチェックワード 15「タッチの差」

Aさん「昨日、終電大丈夫だった?」 

Bくん「はい、タッチの差で間に合いました!」

「間一髪で」と同じニュアンスで使うことが多いですが、実はこの表現は本来、ほんの少しの差で何かに間に合わなかったときなど、マイナスの文脈でのみ使われるもの。ですから『タッチの差で』と切り出すと、相手に「ダメだったのか」と早合点されてしまいます。「なんとか間に合いました」などの表現に言い換えた方が無難ですね。

この使い方で差が出る

間一髪で間に合ってホッとしました。 
タッチの差で乗り遅れてしまいました!

監修/篠崎 晃一(Shinozaki Koichi)

東京女子大学教授。専門は方言学、社会言語学。『例解新国語辞典』(三省堂)編修代表や、テレビ番組「ワーズハウスへようこそ」(日本テレビ系)の監修など幅広い分野で活躍。『えっ?これっておかしいの!? マンガで気づく間違った日本語』(主婦の友社)など、日本語の誤用に関する著書も多い。